【飲食店の人件費率】
業態別の目安と2026年最低賃金時代の改善策
人件費の高騰が止まらない。
2025年度の最低賃金は全国加重平均1,121円となり、前年比66円増・昭和53年の目安制度創設以来最大の引き上げ幅を記録しました。全47都道府県で初めて1,000円超が実現したこの改定は、2025年10月〜2026年3月にかけて順次施行されています。さらに政府は「2029年度までに全国平均1,500円」という目標を掲げており、2026年度以降も毎年100円近い引き上げが続く可能性があります。飲食店経営者にとって、人件費の管理は待ったなしの課題です。人手不足で採用コストも上がり、シフトを削れば現場が回らなくなる。そのジレンマのなかで、「人件費率」という指標を正しく理解し、活用できているかどうかが、店の生死を分ける局面になりつつあります。
レストランスターは飲食店向け公式アプリの開発・運用支援を15年以上にわたって行い、累計3,000店以上の現場をサポートしてきました。その経験から言えるのは、「人件費率の数字を知っている店」と「数字を動かせる店」には大きな差がある、ということです。本記事では、計算方法や業態別の目安にとどまらず、「実際にどう改善するか」まで踏み込んで解説します。
なお、飲食店の開業段階からコスト設計を考えたい方は、飲食店開業ガイドや開業マーケティングの記事もあわせてご覧ください。
この記事でわかること
- 飲食店の人件費率の正しい計算式と、業態別の適正ライン
- FLコストとの関係と「利益が出る構造」の作り方
- 人件費率を実際に下げるための5つの具体的アクション
- 最低賃金上昇・人手不足の時代に通用するデジタル活用法
レストランスターでは、飲食店の人件費率・FLコスト改善を含む経営支援の事例・料金資料を無料で公開しています。15年・3,000店以上の支援実績をまとめた資料をぜひご活用ください。
目次
飲食店の人件費率とは?まず「何が含まれるか」を整理する
人件費率の改善を考える前に、まず「人件費に何が含まれるか」を正確に把握しておく必要があります。多くの飲食店で見られるのが、アルバイトの時給だけを「人件費」として計算してしまうケースです。これでは実態より低い数字が出てしまい、適正化の判断を誤る原因になります。
人件費の内訳:見落としがちな項目とは
飲食店の人件費は、以下の費用をすべて合算して把握する必要があります。
- 基本給・時給(正社員・アルバイト・パート全員分)
- 残業代・深夜手当(22時〜翌5時の深夜労働には通常賃金の25%増が適用されます。さらに法定時間外労働と深夜労働が重複する場合は割増率が加算され、合計50%増=1.5倍になります。飲食店の夜間営業は残業時間帯と重なるケースが多いため、「深夜は1.25倍」と単純に試算すると実際のコストを過小評価する可能性があります)
- 法定福利費・社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険など。給与の約15〜16%程度が目安)
- 交通費・各種手当(住宅手当・扶養手当・役職手当など)
- 教育・研修コスト(新人教育にかかる時間コストも含む)
- 採用コスト(求人広告費・紹介料など。月次に按分して管理するケースが多い)
特に社会保険料は見落とされやすく、正社員が増えるほど負担が膨らみます。複数店舗を運営している場合は、本部人件費の按分も含めて計算しておくことが重要です。
人件費率の計算式
基本の計算式はシンプルです。
人件費率の計算式
人件費率(%)= 人件費合計 ÷ 売上高 × 100
例:月売上200万円、人件費合計60万円 → 60÷200×100=30%
ここでいう「売上高」は税抜き売上を使うのが一般的です。また「人件費合計」は上記の内訳をすべて含んだ数字を使いましょう。
よくある計算ミスのパターン
現場でよく見られる計算ミスは3つあります。
①アルバイト分だけで計算している:店長・社員の給与や社会保険料が抜けると、実際より5〜10ポイント低い数値になることがあります。
②税込み売上で割っている:消費税分が含まれると分母が大きくなり、人件費率が低く出ます。税抜き売上で計算することが基本です。
③繁忙月だけで判断している:繁閑の波がある飲食店では、月次の数値が大きく変動します。3カ月〜半期の平均で傾向を把握することが重要です。
飲食店の人件費率の目安|業態別に見る適正ライン

人件費率に「絶対的な正解」はありません。業態ごとに客単価・回転率・サービスの手間が異なるため、適正ラインも変わります。ここでは業態別の目安を整理したうえで、「なぜ差が生まれるか」という構造的な理由まで解説します。なお、利益が出やすい業態の特徴については飲食店の利益が出やすいジャンルとは?の記事も参考になります。
業態別 人件費率・原価率・FLコスト 目安一覧
| 業態 | 人件費率の目安 | 原価率の目安 | FLコスト合計 | 特徴・補足 |
|---|---|---|---|---|
| 焼肉・セルフ系 | 18〜24% | 35〜40% | 55〜62% | 客自身が調理・セルフ提供のため人手が少ない。原価は高め。 |
| ファミリーレストラン | 25〜30% | 28〜33% | 55〜62% | マニュアル化・効率化が進んでいる。セントラルキッチン活用で原価も抑えやすい。 |
| ラーメン・そば・うどん | 25〜30% | 28〜35% | 55〜63% | 回転が速く少人数で運営しやすい。食材費はスープ・麺のコストで変動。 |
| 居酒屋 | 28〜35% | 28〜35% | 58〜68% | ドリンクで粗利を確保できる一方、夜間の人件費(深夜手当)が膨らみやすい。 |
| カフェ・喫茶 | 25〜38% | 28〜35% | 55〜70% | 効率的な運営では25〜30%に抑えられる一方、長時間滞在・低回転の店舗では35〜38%程度になるケースも見られる。 |
| イタリアン・フレンチ | 35〜45% | 30〜38% | 65〜80% | 高い接客技術・コース対応が必要。客単価が高く利益構造が異なる。FL率が高くても成立するケースがある。 |
| 高級割烹・料亭 | 40%超も | 35〜45% | 75〜85% | 少人数の高スキルスタッフ+高食材費。客単価が極めて高いため成り立つ特殊構造。 |
※各数値は一般的な目安であり、立地・規模・運営方針によって変動します。
人件費率が高くなりやすい業態・低くなりやすい業態の構造的理由
人件費率の差は、突き詰めると「1人のスタッフが1時間に生み出せる売上」の差です。客単価が高く、かつ回転率も高い業態ほど人件費率を低く抑えやすくなります。逆に、客単価が低く滞在時間が長い業態(カフェ・喫茶など)や、高い接客スキルが必要な業態(フレンチ・高級和食など)は構造上、人件費率が高くなりやすい傾向があります。
この「構造的な差」を理解せずに、他業態の数値だけを目標にしてしまうと、サービスの質を落とすだけで終わることがあります。まず自店の業態特性を踏まえた「自分たちの適正ライン」を設定することが出発点です。
「35%を超えたら危険」は本当か?状況別の解釈
「人件費率35%超は危険ライン」とよく言われますが、これは目安であり絶対的な基準ではありません。重要なのは、FLコスト全体のバランスです。たとえば原価率が20%に抑えられているなら、人件費率が35%でもFLコスト合計は55%に収まり、利益を確保できる構造になります。
また、開業直後・新業態テスト中・スタッフ教育の重点期間などは一時的に人件費率が上がることがあります。こうした局面では「今のフェーズで許容できる数値はどこまでか」を経営者が意識的に設定することが大切です。
FLコストで考える|人件費率を単体で見てはいけない理由
人件費率だけを見て「高い・低い」を判断するのは危険です。飲食店の利益構造を正しく把握するには、食材費(F:Food)と人件費(L:Labor)をセットで管理する「FLコスト」の視点が欠かせません。原価率との関係を深く理解したい方は、飲食店の原価率とは?業態別の目安一覧と利益を残す改善策を解説もあわせてご確認ください。
FLコストとは何か
FLコストとは、売上に対する「食材費+人件費」の合計比率のことです。管理の目安として、理想は55%以下、目標は60%以下、上限は65%以下と整理されることが多く、これを超えると家賃・光熱費・広告費などの固定費を賄う余裕がなくなり始めます。残りの35〜45%で諸経費をまかない、最終的な利益を生み出す構造です。
FLコストの基本式
FLコスト(%)= 原価率(F)+ 人件費率(L)
例:原価率28%+人件費率30%=FLコスト58%(適正範囲)
原価率が高い店ほど人件費率を下げる必要がある構造
FLコストの考え方で重要なのは「F+L=65%以内」という全体制御です。たとえば食材費にこだわる専門店で原価率が40%を超えている場合、人件費率は20〜25%程度まで抑えないと利益が出にくくなります。逆に、省人化が進んでいて人件費率が20%台の業態であれば、原価に多少コストをかけてもFLバランスを保てます。
このトレードオフを意識せずに、「食材はいいものを使いたい」「スタッフも大事にしたい」の両方を同時に追い続けると、FLコストが70%を超えて収益構造が崩れていくケースが見られます。
FLコストのバランスが崩れると何が起きるか
FLコストが上限の65%を超えると、家賃・光熱費・広告費などの固定費を売上でカバーする余裕がなくなり始めます。さらに70%を超えると、売上がある程度立っていても月次で赤字になるリスクが高まります。飲食店の閉店理由の上位に「コスト管理の失敗」が挙がるのは、このFLバランスの崩壊が背景にあることが多いと考えられます。飲食店開業でよくある失敗とその対策でも、開業直後のコスト設計ミスが経営悪化につながるパターンを詳しく解説しています。
15年・3,000店支援で見えた「FL管理ができている店の共通点」
レストランスターが支援してきた店舗の傾向を見ると、FLコストを安定的に60%前後で管理できている店には共通する特徴があります。
第一に、数字をリアルタイムで把握する仕組みがあることです。月次の締めで初めて数字を確認するのではなく、週次・10日ごとに原価と人件費の速報値を追っている店は、異常値への対応が速い傾向があります。
第二に、原価と人件費を一体で管理していることです。食材費が上がった月は人件費率を意識的に下げる調整を行う、という連動管理ができているかどうかが大きな差になります。
第三に、リピーター比率が高く、集客コストが低いことです。新規集客に広告費をかけ続けると、その分がFL以外のコストを圧迫します。固定客が売上の一定割合を支えている構造は、FL管理の安定にも間接的に貢献します。
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人件費率を改善する5つのアクション

人件費率の改善には、大きく「コストを削る」方向と「売上を上げて率を下げる」方向の2軸があります。前者だけに集中すると、サービス品質の低下・スタッフの離職・顧客離れという悪循環を招くリスクがあります。ここでは両軸を組み合わせた5つのアクションを解説します。
①シフト設計の精度を上げる|アイドルタイムの無駄を削る
人件費改善の第一歩は、「必要な時間に必要な人数を配置する」シフト設計の精度を上げることです。多くの飲食店で課題になるのが、ランチとディナーの間の中休み(アイドルタイム)や、週の曜日ごとの客数変動に対して、シフトが固定的になってしまっていることです。
アイドルタイムの活用については飲食店が暇な時にすること完全ガイドで詳しく解説していますが、シフト設計の観点では「アイドルタイムに何人必要か」を月の平均客数データから逆算することが重要です。
レストランスターの公式アプリを導入している店舗では、来店頻度・注文タイミングのデータが蓄積されるため、「この曜日のこの時間帯は客数が少ない」という傾向をデータとして把握しやすくなります。勘と経験に頼ったシフトから、来店データに基づいたシフト設計へと移行することで、アイドルタイムの人員過多が解消された事例が複数見られます。
②「人時売上高」で生産性を可視化する
人件費率と並んで重要な指標が「人時売上高(にんじうりあげだか)」です。1時間あたりに1人のスタッフが生み出した売上を示します。
人時売上高の計算式
人時売上高(円)= 売上高 ÷ 総労働時間数
一般的な目安:3,000〜5,000円/時間程度(業態・立地により異なります)
この数値を時間帯別・曜日別・スタッフ別に把握することで、「どの時間帯に非効率が起きているか」「どのスタッフ構成が生産性を上げているか」が見えてきます。POSレジのデータ活用については飲食店のPOSレジ活用の記事も参考にしてください。
③モバイルオーダー・セルフオーダーの活用で省人化
テクノロジーを使った省人化は、人件費率改善の即効性が比較的高い手段です。モバイルオーダーを導入することで、注文受けの工数が減り、ホールスタッフを少ない人数で回せるようになるケースがあります。詳しくはモバイルオーダー導入の記事をご覧ください。
ただし、省人化は「手を抜く」ことではありません。浮いた時間をスタッフが接客品質の向上や顧客との関係構築に使えるようになることで、リピート率の向上・客単価の上昇につながるケースも見られます。省人化と接客品質の両立が、中長期での人件費率改善と収益改善を同時に実現するカギになります。
④リピーター比率を上げて「売上を底上げ」する
人件費率を下げる最も根本的な方法は、人件費を削るのではなく売上を上げることです。同じ人数のスタッフで売上が増えれば、人件費率は自然に下がります。そのために有効なのが、リピーター比率の向上です。
新規顧客の獲得には広告費やグルメサイトへの掲載費がかかります。一方、既存顧客が再来店する場合はその集客コストがほぼゼロです。リピーターが増えると、同じ売上でも収益構造が改善します。リピーターを増やすための具体的な施策についてはリピーターが多い飲食店の共通点・秘訣を解説で詳しく解説しています。
また、離職率の高さも人件費を押し上げる隠れたコストです。採用・教育コストが繰り返し発生するため、スタッフが定着する環境づくりも人件費率管理の一環として捉える視点が重要です。飲食店の離職率を下げるには?もあわせてご参照ください。
⑤公式アプリで再来店を促し、売上の土台を安定させる
リピーター育成を仕組みとして運用するうえで、公式アプリは強力なツールになります。スタンプカード・クーポン・プッシュ通知といった機能を通じて、来店頻度を維持・向上させる仕掛けを持てるからです。
公式アプリで蓄積される来店データ・注文履歴・クーポン利用状況は、前述のシフト設計や人時売上高の分析にも活用できます。「顧客の行動が見える化される」ことで、繁閑の波を予測しやすくなり、シフトの精度も上がっていきます。公式アプリが利益率の改善にどうつながるかは、飲食店アプリで利益率を大幅にアップさせるには?で具体的に解説しています。
最低賃金の上昇と人手不足|2026年以降の人件費戦略
最低賃金の引き上げと慢性的な人手不足は、飲食業界全体が直面している構造的な課題です。「とにかくシフトを削る」という短期的な対応だけでは、現場の崩壊やスタッフの離職を招き、中長期では経営をさらに悪化させるリスクがあります。ここでは、変化する環境のなかで機能する人件費戦略の考え方を整理します。
最低賃金の推移と飲食業への影響
2025年度の最低賃金は全国加重平均1,121円となり、前年比66円増・目安制度創設以来最大の引き上げ幅を記録しました。全47都道府県で初めて1,000円超が実現し、2025年10月〜2026年3月にかけて順次適用されています。さらに政府は「2029年度までに全国平均1,500円」という目標を掲げており、2026年度も100円近い引き上げが続く可能性があります。単純計算で、時給100円の引き上げは月150時間勤務のスタッフ1人あたり月1万5,000円のコスト増です。アルバイトスタッフを複数名抱える店舗では、年単位で数十万円単位の影響になるケースも見られます。賃上げ対応の具体的な考え方は飲食店の賃上げ対応の記事で詳しく解説しています。
また、働き方改革関連法の影響で残業管理・深夜シフトの設計にも制約が増えています。労働環境の整備と人件費管理を両立するための仕組みづくりについては、飲食店の働き方改革もあわせてご参照ください。
「削る」だけでは限界〜「売上を上げて率を下げる」発想の転換
人件費率を下げる方法を「コスト削減」だけで考えるアプローチには、構造的な限界があります。最低賃金が上がり続けるなかでは、時給を下げることはできません。シフトを削りすぎると現場の質が落ち、顧客満足度の低下→売上の減少→さらなるコスト削減という悪循環に陥るリスクがあります。
発想を逆転させて「人件費は現状維持・売上を増やすことで率を下げる」という戦略が、中長期的に持続可能なアプローチです。客単価を上げる・リピーターを増やす・デジタルツールで生産性を高める、これらを組み合わせて「分母(売上)を大きくする」ことが、賃上げ時代の人件費戦略の核心になります。
テクノロジー活用が進む繁盛店の傾向
レストランスターが支援してきた店舗の傾向を見ると、人件費率を安定的に管理できている店は、何らかのデジタルツールを積極的に活用していることが多く見られます。具体的にはモバイルオーダーによる注文工数の削減、POSとの連携による売上・原価のリアルタイム管理、公式アプリによるリピーター育成といった取り組みです。
これらはそれぞれ単体でも効果がありますが、連携させることで「少ない人数で多くの売上を生み出す」仕組みが整っていきます。テクノロジー投資を「コスト」ではなく「人件費率改善のための投資」として位置づける視点が、これからの飲食店経営には求められています。
人件費率の改善事例|支援現場から見えたパターン

ここでは、レストランスターの支援現場で見られた人件費率改善のパターンを2つ紹介します。いずれも特定の店舗ではなく、複数の支援事例に共通して見られた傾向をもとにまとめたものです。
パターン①:来店データの見える化でシフト設計が精緻化したケース
複数の居酒屋業態の店舗では、公式アプリ導入後に来店時間帯・曜日ごとの客数傾向がデータとして蓄積されるようになりました。それ以前は「なんとなく金曜は忙しい」という感覚でシフトを組んでいたケースが多く、木曜のアイドルタイムに必要以上の人員を配置していたり、土曜のピーク前後に人が足りなくなったりという非効率が生じていました。
来店データを参照しながらシフトを組み直すことで、週単位の総労働時間を削らずに配置の精度を上げる取り組みが進んだ店舗では、人時売上高が改善し、結果として人件費率が2〜5ポイント程度改善したケースが見られます。重要なのは「削った」のではなく「配置を最適化した」という点です。スタッフの不満も出にくく、定着率の改善につながった店舗もありました。
パターン②:公式アプリ導入でリピーター比率が上昇し、客単価とFLコストが同時に改善したケース
カフェ・ダイニング系の店舗では、グルメサイト中心の集客から公式アプリを活用したリピーター育成にシフトした結果、既存顧客の来店頻度が上がり、月間売上に占めるリピーター比率が高まった事例が見られます。
一般的な傾向として、リピーター比率が上がると集客のためのグルメサイト掲載費や広告費が相対的に減少するケースが見られます。売上規模を維持しながら集客コストが下がるため、FL以外のコスト構造が改善されます。さらに、スタッフが常連客との関係を構築することで追加オーダーが増え、客単価が上昇したケースも見られました。人件費を削らずに、売上と生産性を同時に高めた好例といえます。
公式アプリを通じたリピーター戦略の詳細は飲食店アプリで利益率を大幅にアップさせるには?でも解説しています。
飲食店の人件費率に関するよくある質問(FAQ)
Q飲食店の人件費率の適正ラインはどのくらいですか?
業態によって異なりますが、一般的な目安は売上の25〜35%程度です。ファミリーレストランやラーメン店のような効率重視の業態では25〜30%、居酒屋やカフェでは30〜38%程度になる傾向があります。ただし重要なのは単体の数値ではなく、原価率と合わせたFLコストが適正範囲(目標60%以下、上限65%以下)に収まっているかどうかです。
Q人件費率の計算式を教えてください。
「人件費率(%)= 人件費合計 ÷ 売上高(税抜)× 100」で計算します。人件費合計には、アルバイト・パートの時給だけでなく、社員給与・残業代・深夜手当・社会保険料(法定福利費)・交通費・教育コストもすべて含める必要があります。アルバイト分だけで計算すると実態より低い数値が出てしまうため注意が必要です。
Q人件費率が35%を超えてしまっています。すぐに削減すべきですか?
一概に「すぐ削減すべき」とは言えません。まずFLコスト全体を確認してください。原価率が低い(20〜25%程度)であれば、人件費率35%でもFLコスト計は60%前後に収まり、利益が出る構造であるケースもあります。また、開業直後・スタッフ教育期間中・新業態テスト中などは一時的に人件費率が上がること自体は想定内です。闇雲に削るより、シフト設計の精度向上や売上の底上げを組み合わせて対応するアプローチが中長期では機能しやすい傾向があります。
QFLコストとは何ですか?人件費率とどう違うのですか?
FLコストは「Food(食材費)+Labor(人件費)」の売上に対する合計比率です。人件費率は人件費だけの比率を見るのに対し、FLコストは食材費と人件費をセットで管理する指標です。飲食店の利益構造を把握するには、人件費率単体ではなくFLコスト全体で判断することが重要です。一般的に理想は55%以下、目標は60%以下、上限は65%以下が管理の目安とされています。
Q最低賃金が上がり続けるなかで、人件費率を改善する方法はありますか?
最低賃金の引き上げ環境では「時給を下げる」という選択肢はありません。そのため、①シフト設計の精度を上げてアイドルタイムの人員配置を最適化する、②モバイルオーダーなどのテクノロジーで省人化する、③リピーター比率を高めて売上の土台を安定させる、④公式アプリで来店頻度を高め売上を上げる、といった複数の施策を組み合わせるアプローチが現実的です。「コストを削る」より「売上を上げて率を下げる」発想の転換が、持続可能な経営につながる傾向があります。
Q人時売上高とは何ですか?人件費率との関係を教えてください。
人時売上高は「売上高 ÷ 総労働時間数」で算出する、スタッフ1人が1時間に生み出す売上の指標です。人件費率が「コストの比率」を見るのに対し、人時売上高は「生産性」を見る指標です。人時売上高が高い=少ない労働時間で多くの売上を生み出せている、ということを意味します。シフトの効率改善や省人化の効果を測る際に、人件費率と人時売上高を並行して追うことで、改善の方向性がより明確になります。
まとめ|人件費率は「管理する」ではなく「設計する」もの
飲食店の人件費率は、ただ数字を追うだけでは改善できません。本記事で解説してきたポイントを整理します。
① 人件費率の計算は「全費用込み」で:アルバイト時給だけでなく、社員給与・社会保険料・深夜手当・教育コストを含めた正確な数値を把握することが出発点です。
② 業態ごとに「自分たちの適正ライン」を設定する:他業態の目安を機械的に当てはめるのではなく、自店の業態特性・回転率・客単価を踏まえた適正値を設定することが重要です。
③ 人件費率は単体ではなくFLコストで判断する:原価率とセットで管理し、FLコストの目標60%以下(理想55%以下、上限65%以下)を全体の目標として設定することで、利益が出る構造を設計できます。
④ 「削る」だけでなく「売上を上げて率を下げる」両軸で考える:シフト最適化・省人化・リピーター育成・公式アプリ活用を組み合わせることで、スタッフ・顧客・経営の三方に無理のない改善が実現しやすくなります。
⑤ データを経営に組み込む:来店データ・シフトデータ・売上データを可視化し、感覚ではなく数字で判断できる仕組みを持った店舗が、人件費率を安定的にコントロールできている傾向があります。
最低賃金の上昇・人手不足が続く2026年以降の環境では、「なんとなく管理する」から「意図を持って設計する」経営への転換が、飲食店の持続可能性を左右する局面になっています。数字を知ることから始め、少しずつ仕組みを整えていくことが重要です。
RESTAURANT STAR
人件費率の改善は、仕組みで実現する。
15年・3,000店以上の支援実績から学ぶ
レストランスターでは、FLコスト改善・リピーター育成・公式アプリ活用を組み合わせた経営支援の事例と料金資料を無料で公開しています。まずは資料でご確認ください。
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