飲食店の評価シートの作り方を徹底解説|項目と評価方法
こちらの記事では飲食店の評価制度の重要性などについて事例を交えて詳しく解説しましたが、今回の記事では評価制度で必須となる評価シートの作り方について徹底解説します。
「評価制度を作りたい!」
「いまの評価制度を見直したい!」
などお考えであればお役立ていただける内容となっておりますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
評価シートとは
まず最初に「評価シートとはどんなものなのか」というのをお伝えします。
厚生労働省の提示
厚生労働省の「職業能力評価基準」を引用しつつお伝えします。
飲食店に限らず会社組織などにおいて経験や引継ぎなどに頼らなくても人材を育てられることが大事となります。
そのために役立つものとして厚生労働省は「職業能力評価基準」を設けており、その基準を踏まえた「職業能力評価シート」「キャリアマップ」などを提示しています。
【職業能力評価基準|厚生労働省】
仕事をこなすために必要な『知識』と『技術・技能』に加えて『成果につながる職務行動例(職務遂行能力)』を、業種別、職種・職務別に整理したもの。
【職業能力評価シート|厚生労働省】
職業能力評価基準を基にした人材育成システムで、スタッフが持つスキルを把握したり、評価したり、スキルアップさせるために教育すること等に活用できる。
※引用元である厚生労働省の公式サイトはこちら
飲食店における評価シートの役割
飲食店における評価シートの役割はスタッフを評価して、給与や人事に反映させるためのものです。
評価される側であるスタッフからしても評価基準が明確になっていないと不安・不満を感じてしまいます。
反対にスタッフがしっかりとした評価シートがシェアされていて評価基準がで分かっていれば、その基準をクリアできるように行動し、自ずと成長するようになります。
「どのような点を考慮して評価しているのか?」「どうなれば昇給するのか?」などの基準を明確にして、スタッフにもシェアして教育にも活用できるのが評価シートです。
特にたくさんのスタッフがいる飲食チェーン店などの場合や、今後規模を拡大していきたい企業には評価シートは必須だと言えるでしょう。
ちなみに、厚生労働省のホームページでは「職業能力評価シート」というものが公開されており無料でダウンロードすることができます。
こちらは外食産業用のものもあります。
「各項目ができるのか〇・△・×でチェックする」といった使いやすい形式になっており、とても参考になりますので是非ご覧ください。
※厚生労働省が無料配布する「職業能力評価シート|外食産業版」のダウンロードはこちら
評価シートの作り方
さて、それではいよいよ評価シートの作り方について詳しく解説します。
評価シート作りの流れ
評価シートを作るには、まずどのような項目でスタッフを評価するのか基準項目を決めます。
項目が決まったら次は評価の仕方を決めますが、こちらは10段階評価などの細かい評価の仕方よりも、先ほど紹介した厚生労働省の職業能力評価シートのように〇・△・×くらいのシンプルな評価の仕方の方が運用しやすいのでオススメです。
そして、評価シートには評価する側である店舗管理者だけでなく、評価される側のスタッフの自己評価も記載するようにすると良いでしょう。
自己評価と店側の評価の差異について話し合うことで、より教育に活用しやすくなります。
そして、スタッフの自己評価と店舗管理者の評価を足して点数化して最終的な評価を決定させるわけですが「どのくらい点数で、どれくらい給与に影響するのか?」ということも決めておくとスタッフも分かりやすくなります。
評価シートに必要な項目
それでは次に評価シートに必要な項目について、先ほど紹介した厚生労働省の職業能力評価シートを参考にして具体的にお伝えします。
【全体で共通する項目】
顧客への対応:飲食店を利用するお客様のために気持ちのいい接客ができているのか?などを評価します。
スタッフへの対応:一緒に働くスタッフ間で協力できているか?などを評価します。
QSC:Q(クオリティ)・S(サービス)・C(クリンリネス・清潔)の3つの要素から、しっかりとできているかを評価します。
業務効率:飲食店の現場は多忙を極めますので、効率よく業務ができているか?さらに効率を上げるような行動ができているか?などの部分を評価します。
以上の4つが全体で共通する項目でした。
どの項目においても、あなたの経営する飲食店で大事だと考えるポイントで項目を作っておいたり、お客様へのアンケートやスタッフミーティングなどを行って「現場の声」を反映させると良いでしょう。
【一般スタッフ(フロア・キッチン)】
開店準備:フロアスタッフの場合は接客やテーブルなどお客様を迎える準備ができているか?キッチンスタッフの場合は食材や調理器具などの料理を提供する準備ができているか?などを評価します。
営業中:フロアスタッフの場合は来店のご挨拶~お会計~片付け(店内を清潔に保つ)まで一連の接客が上手くできているか?キッチンスタッフの場合は調理・盛り付け・提供時間などを評価します。
閉店後:フロアスタッフの場合はレジ締め・掃除・翌日の開店準備ができているか?キッチンスタッフの場合は食材の在庫確認などができているか?などを評価します。
以上が3つが現場スタッフの項目でした。
アルバイトと社員で分けておくと良いでしょう。
【店舗管理者(店長・エリアマネージャーなど)】
マネージメント:スタッフを管理する立場なのでシフトを作成するなどの人員確保や教育などができているか?などを評価します。
お金の管理:売上・伝票などがしっかりと管理できているか?などを評価します。
設備の管理:店舗の設備が安全で清潔な状態になっているのか?災害時・事件時の対応が分かっているか?などを評価します。
以上が3つが店舗管理者の項目でした。
評価シート作りの重要ポイント・注意点
さて、前章で評価シートの項目についてお伝えしましたが、その項目の詳細を決めていく上で重要になるポイント・注意点を3つお伝えします。
1.評価シートは運用しやすくする
せっかく評価シートを作っても「運用しづらくて使っていない・・」となってしまったらもったいないですよね。
今後もずっと使っていくものですし、年に何度も実施するものですので、そのことを想定して運用しやすい評価シート作りを心がけましょう。
例えば、前章の「評価シート作りの流れ」でも少しお伝えしましたが、10段階評価など細かい評価方法にしてしまうと運用が難しくなってしまいます。
〇・△・×といった3段階評価ぐらいのシンプルな評価方法にした方が運用しやすくなります。
また、評価項目もあまり多すぎない方が良いでしょう。
項目が多すぎたり評価方法が細かいと複雑になり、管理する側も手間がかかったり、管理される側のスタッフも結局どこをどのように改善すれば自分の給与はアップするのか?なども分からず、評価シートが上手く機能しなくなってしまいます。
その他には、評価基準をあいまいにしないことも大事です。
例えば△から〇に評価をアップする場合は「頑張っているようだから」などのように感覚的にアップするのではなくて理由を明確にしてあげましょう。
そうすれば「どうすれば評価がアップするのか?」を明確に伝えることができスタッフ教育もスムーズになります。
可能であれば評価シートに理由を記載できる部分を作っておいて、しっかりと評価内容を書いておいた方が良いでしょう。
評価制度は継続して何回も実施するものですので、このような評価シートがあれば「前回とどのように変化したのか?」を確認することもできます。
2.評価シートを改善できるようにする
評価シートは、最初に作ったもので完成するわけではありません。
むしろ初めて作った評価シートで上手く運用できるケースは稀と言えます。
改善を繰り返してあなたの飲食店経営に本当に合った評価シートにしていくように調整する形になります。
また、長く運用していくことでその時代や経営状況に合わせて変化が必要になることもあります。
例えば、新型コロナウィルスが出た後は「Q・S・C」の項目の中でCのクリンリネスがかなり重要視されるように変化しました。
このように改善することが前提となることを考えておきましょう。
3.データを活用して評価に説得力を
そして、評価シートの内容も改善も、評価する店舗管理者の主観になってはいけません。
店舗管理者側の誰が評価するにしても正しくなるように、可能な限り客観的なデータに基づいて評価することが大事です。
データを基にした評価を下すことで、評価される側であるスタッフも納得しやすくなり教育もスムーズになります。
もちろん全てをデータ化することは難しいですが、データにできるものは可能な限り集めておくようにしましょう。
このデータというのは売上・来店客数・料理の提供スピードなどはもちろん、お客様の評価なども反映させることでより精度を増します。
次章では、どのようなデータを評価シートに活用できるのかを、私たちが提供している飲食店公式アプリ作成サービス|レストラン★スターの具体策を交えて詳しく紹介します。
評価にデータを活用する具体策
それではこの記事の最後に、飲食店の会員証アプリを評価制度に活用する具体策を紹介いたします。
アプリによるQSCチェック
私たちが提供するアプリにはアンケートの機能があります。
アプリ会員様にアンケートをお願いして、集計・分析をすることが可能です。
アンケートの設問は自由にカスタマイズすることができますので、あなたの飲食店の評価シートに必要なことをお客様に聞き取ることができます。
私たちのクライアントである飲食チェーン店様の多くで実施されているのがQSCに関する聞き取りアンケートです。
聞き取ったアンケートデータを集計し、QSCで点数化して評価シートに反映させるという方法になります。
アプリ会員様からの評価点数が高ければスタッフへの高評価へ繋がり、反対に評価点数が低い部分は改善点としてスタッフと共有します。
お客様(特にアプリをダウンロードしてくれて会員登録してくださっているリピーターのお客様)からのご意見なので、かなりの説得力があります。
スタッフも評価内容に納得しやすいので高評価の時はモチベーションアップに、低評価の部分は「すぐに改善しよう!」と動いてくれやすくなります。
また、余談となりますが、低評価だった部分が改善されたら低評価をつけたアプリ会員様だけに絞り込んで「先日は貴重なご意見ありがとうございました。早速改善いたしましたので是非またご来店ください。」とメッセージを配信することも可能です。
アプリによるリピート率チェック
私たちが提供している会員証アプリでは「どのアプリ会員様が、いつ来店して、いくら使ったのか?」などのデータが自動的に記録されますのでリピート率の簡単に把握できます。
リピーター様は新規のお客様に比べて何倍も利益貢献度が高いため、リピート率をUPさせることはとても大切なことです。
会員証アプリを導入していれば来店客数や売上だけでなくリピート率という数値データも評価に反映させることができます。
アプリ会員の獲得数チェック
ここまでお話したようにアプリ会員様からはたくさんのデータを集めることができ、リピート率も高い傾向にある飲食店にとって重要な存在です。
アプリ会員様を増やすことは『飲食店の資産を増やすこと』と繋がっています。
お客様は店頭などに設置しているアプリ会員募集の案内ポップなどを見て、お客様ご自身でアプリをダウンロードして会員登録してくれることも多いです。
しかし、スタッフが積極的に「アプリ会員になりませんか?」とお声がけすることによって会員数はさらに増える傾向にあります。
たくさんのアプリ会員を獲得したら評価するように制度に組み込むことも非常にオススメです。
以上が私たちが提供している会員証アプリを評価制度に活用する具体策でした。
この記事でお話したように会員証アプリには多くのデータをとることができます。
さらに私たちはそのデータを分析して活用することをお手伝いしている専門企業ですので、もしもあなたの飲食店で
「評価制度をはじめたい!」
「評価制度を強化したい!」
など、お考えであれば私たちに是非ご相談ください。
実際の飲食店様の事例を交えつつ具体策を提案させていただきます。
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それでは今回は以上です。
次回は「作成した評価シートを給与や人事に反映させる」など運用について詳しく解説いたしますので、そちらも併せてご覧ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。