
【2025年最新】飲食店が使える補助金・助成金まとめ(活用事例も紹介)
飲食店経営を続けていく上で、設備投資・人材確保・デジタル化といった課題は避けて通れません。特に物価高や人手不足が深刻化する2025年は、「補助金や助成金をいかに活用できるか」が経営の明暗を分けると言っても過言ではありません。
本記事では、2025年に全国の飲食店が活用できる補助金・助成金制度を網羅的に紹介します。国の主要制度はもちろん、地方自治体による支援策、そして2025年から新たに開始された注目の制度までをカバーし、以下の観点でわかりやすく整理しました。
↓
・制度の概要と活用ポイント(飲食店での具体的な使い方例)
・対象となる事業者・補助額・補助率・対象経費
・公募時期・公式リンク
・実際の採択事例(2023~2024年の公的資料より飲食店に絞って抜粋)
「どの補助金や助成金をどう使えば良いか分からない」という方でも、読み進めるだけで、自店舗に合った補助金制度が見つかる構成になっています。
目次
飲食店が使える国の補助金・助成金(2025年版)
小規模事業者持続化補助金(販路開拓の強い味方)
「販路開拓」が目的の補助金で、特に広告費だけでも申請可能な点が使いやすいと人気。ぐるなびや食べログへの掲載費、LINE公式アカウント開設費なども対象になります。
対象:従業員5人以下の飲食店(個人経営含む)
補助額:最大250万円(通常枠は50万円)
補助率:2/3(赤字企業は3/4)
対象経費:店舗改装費、チラシ・Web広告費、設備購入費 など
公募状況:第17回公募が2025年6月締切予定(年間複数回)
※公式情報:中小企業庁「小規模事業者持続化補助金」(https://r3.jizokukahojokin.info)
採択事例(2023〜2024年公表)
【居酒屋】地元の旬な食材と地酒を活かした和食メニューによって地域を活性化する取り組み。
【ラーメン店】焼肉メニューを加えた複合業態への転換で新規客層を獲得する計画。
【ラーメン店】本格中華との融合で夜の居酒屋需要にも対応する業態強化。
出典:商工会議所・商工会公募結果より
IT導入補助金(飲食店のデジタル化に)
飲食店向けに特化したITツールも数多く登録されており、レジや予約システムの導入費用の大半を補助でカバー可能。特に2025年はインボイス制度対応が重視されており、対象事業者には高い補助率が適用されます。
対象:中小企業全般(飲食店含む)
補助額:最大450万円
補助率:1/2〜最大4/5(インボイス・セキュリティ対応枠)
対象経費:POSレジ、モバイルオーダー、予約管理、決済端末 など
公募状況:2025年度 第1次は5月締切
※公式情報:IT導入補助金公式サイト(https://it-shien.smrj.go.jp/)
採択事例(2023〜2024年公表)
【カフェ】深海魚をテーマにしたカフェがセルフオーダーシステム導入により回転率40%改善。
【飲食店チェーン】POS連携セルフレジと冷凍機導入で客単価20%アップ、ロス40%削減。
出典:IT導入補助金 採択事例集より
ものづくり補助金(大規模な設備投資に)
「革新的な取り組み」であることが条件。飲食店では、セントラルキッチン導入や新たな冷凍・仕込み技術導入による業態強化が申請例としてあります。
対象:中小企業(飲食業も含む)
補助額:最大8,000万円(通常枠は〜1,250万円)
補助率:最大2/3
対象経費:厨房機器、生産性向上設備、新商品開発費
公募状況:年3〜4回、2025年も継続
※公式情報:ものづくり補助金事務局(https://portal.monodukuri-hojo.jp)
採択事例(2023〜2024年公表)
【ラーメン店】製麺機とスチームオーブン導入で仕込み時間短縮、回転率UP。
【焼肉店】阿波牛の加工ライン導入によるギフト販売への展開。
【居酒屋】「アキレス串」の製造設備投資で効率化と独自メニュー強化。
出典:ものづくり補助金 採択事例より
新事業進出補助金(事業再構築補助金の後継)
2025年の超注目補助金。飲食店が通販事業・加工食品販売・無人化店舗など新事業に乗り出す際に活用可能。国は「中小企業の新しい挑戦」を全面支援する姿勢。
対象:中小企業、スタートアップ
補助額:最大9,000万円(大幅賃上げ企業は上乗せあり)
補助率:1/2
対象経費:新事業のための設備、広告、人材教育など
公募状況:2025年4月開始予定(第1回)
※公式情報:中小企業庁|新事業進出促進事業のPDF資料
※「新事業進出補助金」は2025年公募開始予定のため、現時点で公的な採択事例は未公開です。
中小企業省力化投資補助金
人手不足や業務効率化が求められる飲食店にとって非常に使いやすい補助金。券売機やセルフレジ、配膳ロボット、自動調理機器など、導入すればすぐに効果が見える省力化設備の購入費用が補助対象になります。カタログ型なら、手間のかかる申請書作成も簡素化されています。
対象:中小企業・小規模事業者(飲食業含む)
補助額:最大1億円(カタログ型は最大1,500万円)
補助率:2/3(小規模事業者は最大3/4)
対象経費:自動券売機、セルフレジ、配膳ロボット、厨房自動化機器など
公募状況:2025年も継続。第2回公募は2025年4月15日開始
※公式情報:独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業省力化投資補助金」(https://shoryokuka.smrj.go.jp)
採択事例(2024年)
【居酒屋】ホール業務の省力化を目的に、配膳ロボットと自動レジを導入
【ラーメン店】注文業務を効率化するために券売機を新設し、接客負担を軽減
中小企業新事業進出補助金
「焼肉店が冷凍惣菜を製造・通販へ」「ラーメン店がセントラルキッチンを設立」など、これまでの業態とは異なる分野に挑戦する飲食店向け。単なる店舗拡張は対象外だが、新たな事業軸を立ち上げる際には非常に強力な補助となる。
対象:異業種・新市場に進出する中小企業
補助額:最大9,000万円(従業員規模により変動)
補助率:1/2(賃上げ企業には特例上限あり)
対象経費:新業態に必要な設備投資、建物、広告、専門家活用など
公募状況:2025年4月より第1回公募開始済み(年4回予定)
※公式情報:中小企業庁「中小企業新事業進出補助金」(https://seisansei.smrj.go.jp/subsidy_guide/subsidy_info/new_business_subsidy.html)
※制度初年度のため採択事例はまだ未公表。ただし飲食業における活用余地は大きく、今後の活用が期待される。
中小企業成長加速化補助金
「売上100億円を目指す」ことが前提のためハードルは高いが、大手飲食チェーンや多店舗展開を進める法人にとっては極めて高額な支援。セントラルキッチンの新設、大規模な調理ライン自動化など、大胆な設備投資を行う飲食事業者に最適。
対象:売上高100億円を目指す中小企業
補助額:最大5億円(最低1億円以上の投資が必要)
補助率:1/2
対象経費:工場・設備・システム導入、拠点設立費など
公募状況:2025年5月8日から第1回公募開始予定
※公式情報:中小企業庁「中小企業成長加速化補助金」(https://seisansei.smrj.go.jp/subsidy_guide/subsidy_info/growth_acceleration_subsidy.html)
※制度初年度のため採択事例は未公表。飲食業であれば、外食チェーンによる拠点投資などでの活用が想定される。
大規模成長投資補助金
10億円以上の大規模投資が条件となるものの、飲食・食品業界でもセントラルキッチン新設や地域密着型の大規模設備投資での採択例あり。地方の食材を使った冷凍商品開発や物流拠点構築など、地域雇用創出につながるプロジェクトに最適。
対象:従業員2,000人以下の中堅・中小企業
補助額:最大50億円
補助率:1/3
対象経費:設備、建物、機械装置、システム構築費など
公募状況:2025年も継続実施中(第3次公募あり)
※公式情報:経済産業省「大規模成長投資補助金」(https://seichotoushi-hojo.jp)
採択事例(2024年)
【冷凍食品製造業】地元野菜を使った冷凍惣菜工場を新設し、地域雇用拡大へ
【焼肉チェーン】セントラルキッチン整備と地域本部の構築による配送効率化
キャリアアップ助成金(スタッフの正社員化に)
「長年働いてくれているバイトを正社員にしたい」などに使える制度。1人ごとに支給される定額助成なので、店舗の人的安定化を図るチャンス。
対象:非正規雇用者を正社員にする中小企業
助成額:1人あたり最大80万円
対象:パート・アルバイトを正社員化した場合 ほか
申請期間:通年
※公式情報:厚生労働省 キャリアアップ助成金(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322.html)
両立支援等助成金
従業員の定着と育児・介護の両立支援に使える助成金。飲食店のスタッフが育休を取得した場合の助成や、代替スタッフの採用補助が受けられるため、少人数運営の店舗にも現実的。特に「出生時両立支援コース(男性育休)」が飲食業界でも活用されています。
対象:中小企業(育児・介護との両立制度導入企業)
補助額:最大100万円以上(各コースにより変動)
補助率:定額(例:男性育休1人目で20万円、50%超取得で加算あり)
対象経費:育休制度導入、育休取得者の代替要員手当など
公募状況:2025年度も制度拡充され継続実施中
※公式情報:厚生労働省「両立支援等助成金」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/ryouritsu01/index.html)
採択事例(2024年)
【飲食店】男性スタッフが育児休業を取得し、事業主が20万円の助成金を受給
【レストラン】育児短時間勤務制度を導入し、育児復帰者に応じて支給を受けた
事業承継・M&A補助金(旧:事業承継・引継ぎ補助金)
後継者不足が課題の飲食業界で、第三者承継(M&A)や親族内承継の際に、設備更新や店舗リニューアル費用を補助。PMI(買収後の統合プロセス)にも対応しており、買収先店舗の業態転換や再建にも活用可能。
対象:事業承継・M&A・廃業再チャレンジを行う中小企業
補助額:最大2,000万円(枠により異なる)
補助率:1/2(小規模は最大2/3)
対象経費:設備費、仲介・デューデリ費、廃業費用、PMI関連費用など
公募状況:2025年も継続。第11次公募実施中
※公式情報:事業承継・引継ぎ補助金 公式サイト(https://jsh.go.jp)
採択事例(2024年)
【居酒屋】後継者不在により第三者承継を実施。店舗改装と新メニュー導入で再スタート
【和食店】廃業予定の店舗を買収し、リニューアル資金としてPMI枠を活用
雇用調整助成金
景気後退や売上減少時に従業員を解雇せず休業対応する際、支払う休業手当を国が助成する制度。コロナ禍でも飲食業界で最多利用された実績があり、2025年も通常制度として活用可能。
対象:景気悪化等で一時的に事業活動縮小する事業者
補助額:日額上限あり(通常15,000円程度)
補助率:中小企業:2/3(教育訓練ありで加算)
対象経費:休業手当、教育訓練費、出向先への賃金補填など
公募状況:常時申請可能(災害・感染症時には特例あり)
※公式情報:厚生労働省「雇用調整助成金」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07_20200515.html)
採択事例(2023~2024年)
【居酒屋チェーン】営業時間短縮により全店舗休業し、従業員の休業手当を助成でカバー
【ラーメン店】週休業を導入し、助成金で従業員給与の一部を補填
トライアル雇用奨励金
未経験者をまずは3ヶ月間試験的に雇用して、適性を確認できる制度。飲食業で「人材のミスマッチ」を避けるための有効なツール。雇用保険対象外の人材やブランクのある人などを雇いやすくなります。
対象:職業経験等が不足する求職者をハローワーク紹介で雇用した事業者
補助額:月額4万円(最大3ヶ月=12万円)
補助率:定額
対象経費:賃金の一部
公募状況:通年申請可
※公式情報:厚生労働省「トライアル雇用助成金」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/trial_koyou.html)
採択事例
【カフェ】再就職を目指す主婦を3ヶ月トライアル雇用し、適性確認後に正社員登用
業務改善助成金
時給制で働くスタッフの最低賃金を引き上げる代わりに、生産性向上投資を補助する制度。厨房機器やPOSレジなど飲食業にも導入しやすく、賃上げ圧力が高まる今こそ活用のチャンス。
対象:事業所内最低賃金を一定額以上引き上げる中小企業
補助額:最大600万円(引上げ幅により変動)
補助率:最大3/4(賃上げ額により変動)
対象経費:厨房設備、ITツール、POSレジ、業務改善コンサルなど
公募状況:2025年度も継続(実施スケジュールあり)
※公式情報:厚生労働省「業務改善助成金」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html)
採択事例
【レストラン】デリバリー対応強化のため新厨房設備導入と賃金60円引上げ
【居酒屋】セルフオーダー導入と引き換えにスタッフの時給を30円アップ
地域別|代表的な自治体の飲食店向け補助金
東京都:インバウンド・バリアフリー対応を強化
✔ インバウンド対応力強化補助金(東京観光財団)
上限:300万円(複数店は最大1,000万円)
補助率:2/3(多言語化関連)/1/2(その他)
対象:多言語メニュー、Wi-Fi設置、決済端末、祈祷室設置 など
申請期間:〜2026年3月末
※公式情報:https://www.tcvb.or.jp/jp/project/infra/welcome-foreigner/
✔ 小売ロス削減補助金(東京都環境局)
上限:1,500万円(1事業者あたり)
補助率:1/2
対象:賞味期限管理アプリ、在庫管理ツール、量り売り機器 など
※公式情報:https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2024/05/2024053022
大阪府:小規模飲食店の設備投資支援
✔ 大阪府 小規模企業者等設備貸与制度
内容:設備購入代行&分割払い(実質リース形式)
対象:厨房機器・製造設備など
※公式情報:https://www.pref.osaka.lg.jp/o110080/kinyushien/syoukibo/index.html
✔ 大阪市 空き店舗活用支援(家賃補助)
内容:開業希望者向け家賃補助(2〜3年)
※公式情報:https://www.city.osaka.lg.jp/keizaisenryaku/page/0000625046.html
福岡県:省エネ×賃上げの補助が注目
✔ 中小企業生産性向上・賃上げ緊急支援補助金
補助率:1/2
対象:省力化設備導入+最低賃金30円以上UP
申請:2025年も複数回実施予定
※公式情報:https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/productivity-improvement-subsidy-2025.html
2025年の飲食店向け補助金トレンドとは?
2025年における補助金制度の傾向として、次のような注目キーワードが浮かび上がっています。
DX(デジタル化)
POSレジ、モバイルオーダー、予約管理などの導入支援が増加。インボイス対応・クラウド化も対象に。
省エネ・脱炭素
高効率厨房機器・LED照明などの導入費補助。環境負荷の低い店舗運営が評価されやすい。
インバウンド対応
多言語対応・キャッシュレス決済・ベジ・ハラール対応など。観光需要を見据えた支援が増加中。
バリアフリー化
高齢者や車椅子ユーザーも快適に過ごせる店舗整備への補助も登場。多機能トイレや段差解消など。
人材確保・賃上げ支援
非正規雇用からの転換支援(キャリアアップ助成金)や、賃上げと連動した設備補助が注目。
補助金を活用する際の3つの注意点
1.公募時期を逃さないこと
特に国の補助金は数ヶ月単位で締切があるため、情報を定期的にチェックするのが必須です。
2.申請前の準備が9割
事業計画や見積もりなど、書類の不備で不採択になるケースも。事前準備が肝心です。
3.「補助金ありき」ではなく、戦略に組み込む
補助金はあくまで「後押し」ツール。本業の戦略に合致していなければ意味がありません。
まとめ|2025年は補助金で飲食店の未来を切り開く年
2025年は、飲食店が新たな挑戦をしやすいよう、国や自治体の補助金・助成金制度が例年以上に充実しています。
とくに以下のような取り組みに対しては、支援制度が数多く用意されています。
↓
・POSレジ、券売機、モバイルオーダーなど店舗のIT化・省力化
・業態転換や通販・製造業への新事業進出
・セントラルキッチンや冷凍食品設備など大規模な設備投資
・育児・介護休業制度の整備など働きやすい職場づくり
・従業員の最低賃金引き上げに伴う設備導入
・人手不足を補うための試験的な雇用(トライアル雇用)
補助金は単なる資金支援ではなく、事業改善の“きっかけ”を後押ししてくれる制度です。
「やってみたいけどリスクが気になる」「投資の回収が不安」という経営者こそ、今こそ国の支援制度をうまく使って、チャレンジに踏み出してみてください。
本記事が、その第一歩の参考になれば幸いです。
それではこの記事は以上です。
最後までお読みいただきありがとうございました。