飲食店のインバウンド対策!Withコロナ時代に外国人観光客を集客するには?
新型コロナウイルスの水際対策が6月から緩和され、インバウンドの受け入れが再開されるようです。(2022年6月4日時点)
コロナ禍によって打撃を受けた飲食店や商店街、観光地の関係者には「大きな経済効果がありそう」と、期待している方も多いと思います。
この記事をご覧いただいている飲食店経営者のあなたも「インバウンドの再開に備えて適切な準備をしておかなくては!」と考えられているのではないでしょうか。
ということでこの記事では、飲食店が訪日外国人観光客を集客するインバウンド対策の準備や具体策などを解説いたします。
あなたの飲食店のインバウンド対策の参考にしていただける部分が必ずありますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
まずはおさらい!インバウンドとは
「インバウンド(Inbound)」という言葉は近年多くのビジネスシーンで目にするがありますので、あなたも耳にしたことがあると思います。
飲食業界や観光業界において「インバウンド」という言葉は、外国から日本に訪れる旅行者のことを指します。(ちなみに、逆に日本人が海外に旅行することはアウトバウンド呼びます)
つまり、ビジネスシーンなどで目にする言葉「インバウンド対策」とは、訪日外国人旅行者への対策ということになるわけです。
飲食店にとってインバウンド対策が重要となる理由
インバウンドは観光業界だけのお話と考える方もいますが、旅行といえば現地での食事は欠かせませんので飲食店にとっても重要なお話です。
そのため飲食業界でもインバウンド需要を見越して、効果的な対策をとって訪日外国人観光客を集客しようと各店で様々な取組が実施されています。
今後も増える外国人観光客
新型コロナウイルスが拡大する以前、インバウンド需要は大きく伸びていました。
2008年に観光庁が設置されて国でもインバウンド対策に力を入れ始めました。
そして2015年には訪日外国人旅行者数1,973万人を記録して、1970年から45年ぶりに訪日外国人旅行者数が日本人海外旅行者数を上回りました。
その他にも、流行語大賞に外国人観光客がたくさん買い物をする行為である「爆買い」という言葉がノミネートされる・・・など、2013年から2019年までは8年連続過去最高を更新し続けるという大変な盛り上がりでした。
しかし、2020年からコロナ禍が始まり感染拡大防止の水際対策がとられたことで、インバウンド需要はかなり少なくなりました。
それが、冒頭でもお伝えしたように2022年6月からインバウンド需要が復活しそうな兆しが見えている!というわけです。
いまインバウンド需要が復活すればコロナ禍で抑えつけられていた消費行動が解放されて起こる『リベンジ消費』という現象も予想されるため大きな経済効果が期待できます。
2位「ショッピング」 53.4%
3位「自然・景勝地観光」 45.4%
4位「繁華街の街歩き」 39.9%
5位「温泉入浴」 26.5%
6位「日本酒を飲むこと」 22.0% ← 飲食店に関心あり
さらに現時点(2022年6月)では円安の状態ですので訪日外国人観光客にとって「お得に旅行できるチャンス」でもあります。
日本政府観光局(JNTO)が編集し、2018年に発行している『訪日旅行データハンドブック』によると、コロナ禍以前から多くの訪日外国人観光客が「日本食を食べること」や「日本酒を飲むこと」など食事に高い関心があったようです。そのため、観光業界だけでなく飲食業界にとってもインバウンド復活は利益UPの大きなチャンスと言えるでしょう。
※出展:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
↓
2位「ショッピング」 53.4%
3位「自然・景勝地観光」 45.4%
4位「繁華街の街歩き」 39.9%
5位「温泉入浴」 26.5%
6位「日本酒を飲むこと」 22.0% ← 飲食店に関心あり
2位「ショッピング」 85.1%
3位「繁華街の街歩き」 74.4%
4位「自然・景勝地観光」 65.5%
5位「日本酒を飲むこと」 45.2% ← 飲食店に関心あり
2位「ショッピング」 43.2%
3位「自然・景勝地観光」 42.9%
4位「温泉入浴」 41.2%
5位「繁華街の街歩き」 30.3%
6位「旅館に宿泊」 26.0%
7位「日本酒を飲むこと」 22.6% ← 飲食店に関心あり
日本人の外食機会の低下
もともと日本の人口は減少傾向にありました。
それだけでなく、コロナ禍によって外出のリスクが高くなった。さらに、テイクアウトやデリバリーなどの需要が高まったことで自宅で食事をする人も増えたこと、なども影響し日本人の外食の機会は低下しています。
日本人だけを対象にしていると客数の減少はどうしても免れない状態になってしまっています。
そのため、飲食店にとっても訪日外国人観光客を集客するインバウンド対策が重要になっているわけです。
以上の理由から、これからはインバウンド需要が復活することが予想されます。
コロナ以前からインバウンドに目をつけてきた方はもちろん。これから力を入れていきたい!と考える方も、これを機にインバウンド対策を見直してみましょう。
次章からは、飲食店がインバウンド対策を成功させるために大切になるポイントを紹介いたしますので、ぜひ参考にしてください。
インバウンド対策の課題
飲食店がインバウンド対策を実施するには、クリアしなくてならない課題がいくつかあります。
例えば、官公庁による訪日外国人観光客を対象にしたアンケート調査によると「施設等のスタッフとのコミュニケ―ションがとれない」、「多言語表記の少なさ、わかりにくさ」、「無料公衆無線LAN環境」などの悩みが多かったようです。
訪日外国人観光客の悩みを解消してあげることがインバウンド対策の第一歩となると言えますので、以下から順番に詳しく紹介します。
言語の壁
まず最初にお伝えする課題は「言葉の壁」です。
官公庁の調査によると、日本食を食べることを楽しみにして日本に来たのに「言葉が分からなくて注文ができない」というのが最大の困りごとのようでした。
※出展:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
↓
2位「鉄道」 17.4%
3位「小売店」 16.2%
4位「遊郭・神社・仏閣」9.8%
5位「宿泊施設」 5.4%
2位「料理店を見つける際」 32.9%
3位「食べ方の説明を受ける際」32.2%
4位「席へ案内される際」 8.4%
5位「会計の際」 8.3%
6位「店内でトイレ等を探す際」3.7%
7位「その他」 1.6%
日本は島国で立地面からみても閉鎖的な部分があります。そのため日本人は「日本語しか話せない」もしくは「少し英語は分かる程度」という人が大多数でしょう。
そして、閉鎖的な部分が影響し外国人や外国語で話しかけられることに慣れていない人が多く、上手く対応できない・・・というケースも多いようです。
文化の違い
次にお伝えする課題は「文化の違い」です。
日本独自の文化あるのと同じように、訪日外国人観光客もそれぞれ独自の文化を持った場所から日本に来ています。
飲食店はその文化や習慣に応じた対応が必要不可欠になっています。
例えば、イスラム教やヒンドゥー教のお客さまであれば『宗教的に食べてはいけない食材』というものがあります。その場合は別の調理方法や食材、メニューなど専用の対応が必要になります。
Wi-fi環境がない
訪日外国人観光客の悩みとして多いのが「Wi-fi環境がない」ということで、平成28~30年の統計の中では困りごとの中では2番目に多い悩みとなっています。
そのため、訪日外国人観光客が飲食店を選ぶ場合に、フリーWi-fiが設置されているお店を選ぶ可能性は高いです。
最近はWi-fi環境を整えている飲食店も増えてきていますのが、もしあなたのお店がまだであれば準備を検討された方が良いでしょう。
キャッシュレス決済ができない
最後にお伝えする課題は「キャッシュレス決済ができない」ということです。
日本では「現金が一番!」と考える方も少なくないですが、海外では現金を持ち歩かずにクレジットカードなどのキャッシュレス決済が当たり前になっている国も多いです。
インバウンド対策でキャッシュレス決済が重要になる理由は様々ありますが、「スリや強盗への用心」や「日本の通貨(コインなど)が覚えられない」、「新型コロナウイルス感染防止の観点から現金に触れたくない」などが主な理由でしょう。
そのため、飲食店を選ぶ際に現金しか使用できないことを不便に感じて利用を敬遠されてしまう可能性もあります。
最近ではキャッシュレス決済もかなり導入しやすくなっていますので、可能な範囲でキャッシュレス決済を導入しておきましょう。
飲食店のインバウンド対策|準備編
本章からはいよいよ飲食店のインバウンド対策の本題に入ります。
まずは、どのような点を気を付けて対策すべきなのか?という準備についてお伝えします。
ターゲットを絞る
ここまで「コロナ以前は訪日外国人観光客が年々増えていた。今後さらに増えるであろうことが予想されるため飲食店もインバウンド対策に力を入れるべき」と、お伝えしました。
しかし、全ての訪日外国人観光客を対象に対策をとることは非常に難しいです。
英語・中国語・韓国語・ヒンディー語など言語も違うし、各国によって思想・文化・習慣もかなり異なります。
日本人が良かれと思ってとった行動が理解されない場合も多いでしょう。
※例えば、「無意味に笑顔を見せない」とか「挨拶として頭を下げる文化がない」など
効果的なインバウンド対策を行うにはターゲットをある程度絞って明確にすることが重要です。
・どこの国の人がメインターゲットか?(アメリカ人?中国人?など)
・ファミリー向け、カップル向け、若者向けなど
・ランチ向け、ディナー向けなど
以上のように具体的なターゲットをイメージすることでインバウンド対策が準備しやすくなります。
ターゲットを知る
インバウンド対策のターゲットが決まったら、その方々のことを知る必要があります。
これまで何度かお伝えしていますが、その国で暮らす人々特有の宗教・思想・文化・習慣があります。
飲食店で特に気を付けるべきは食のルールでしょう。
例えば、世界人口の1/3もいるイスラム教徒のお客様や、ヒンドゥー教徒のお客様の場合は以下のものが食べられません。
・お酒
・イスラム法上適切に処理されていない肉
・一部の魚介類や生魚 etc.
・魚介類全般
・卵
・生もの
・五葷(ごくん:ニンニク、ニラ、ラッキョウ、玉ねぎ、アサツキ) etc.
その他にも、日本では人気のあるフグですが海外では「危険な毒をもった魚」というイメージを持つ人が多く、タコも「悪魔的」というイメージを持つ人が多いので好まれません。
以上のように日本人にとって当たり前の食材でも、外国人にとっては「とんでもないもの」となってしまう場合もありますので注意が必要です。
食材以外でも、スタッフの言葉遣いやジェスチャーなども注意が必要になる場合もあるでしょう。
ここまで読んで「インバウンド対策ってなんか大変そうだな・・・」と不安に思われるかもしれませんが、ターゲットの目線となって対策を練ればいいとシンプルに考えてください。
官公庁のアンケート調査結果でもあったように、もともと日本の飲食店などのサービス内容は訪日外国人観光客にとって高く評価されています。そこに相手の目線に立ったインバウンド対策がプラスされることで、さらに喜んでもらえるようになる可能性が高まります。
日本に良い印象があって日本に来てくれた海外のお客様の喜ぶ姿を想像しながら、楽しくインバウンド対策をしていくことをオススメします。
それでは少し長くなってしまいましたので、この記事では以上とさせていただきます。
次回のコラム(↓)では、飲食店のインバウンド対策の実践編や成功事例などをご紹介いたしますので、そちらも併せてご覧ください。
それでは、今回は以上です。
この記事の内容があなた飲食店経営のヒントになれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。