
飲食店のインバウンド集客法6選と成功事例のご紹介
この記事では前回に引き続き、飲食店が訪日外国人観光客を集客するインバウンド対策の具体策や事例などを紹介いたします。
あなたの飲食店のインバウンド対策の参考にしていただける部分が必ずありますので、ぜひ最後までご覧ください。
飲食店のインバウンド対策|実践編
コロナ禍以前のインバウンド需要は絶好調でしたが、コロナ禍となりストップしてしまいました。
しかし、インバウンド需要がまた復活の兆しが見えてきており、円安やリベンジ消費などの追い風も吹いていることから、飲食店の利益UPの大きなチャンスとなりそうです。
そのため、インバウンド対策として様々な取組を再開した飲食店も増えてきていますので、本章で飲食店が実際に行っているインバウンド対策を紹介します。
外国人向けのメニュー表を作る
まず最初に紹介するインバウンド対策は「外国人向けのメニュー表を作ること」です。
観光庁が発表した「訪日外国人消費動向調査」によると、訪問した飲食店の中で多言語表示・コミュニケーションで困った場面は「料理を運ぶ・注文する際」が65.8%とぶっちぎりの1位でした。
訪日外国人観光客の半分以上が言葉の壁に困っているようですので、メニューを改善することはインバウンド対策として大きな効果を発揮するでしょう。
メニューに表記されている言語を日本語だけでなく、あなたのお店のターゲットとなる国の方の言語でも表記しておくようにしましょう。
そして、料理の写真を掲載してイメージしやすくしてあげると丁寧でしょう。ターゲットの訪日外国人観光客はもちろん、もしもメニュー表に対応していない言語のお客さまが来てもメニューを指さして直観的に注文を伝えることができます。
その他にも、どのような食材が使用されているか?などの情報も記載しておくと宗教・文化・風習の違いもカバーしやすくなります。
お店の料金体系や注文方法を説明する
次に紹介するインバウンド対策は「お店の料金体系や注文方法を説明すること」です。
日本の飲食店にはコース料理・食べ飲み放題・2時間制・おひとり様〇品以上注文・テーブル会計・食券など様々な料金体系や注文方法が存在します。
日本人にとっては理解しやすくても訪日外国人観光客にとっては複雑で理解しづらいものがあります。
お金に関係する大事な部分ですので誤解から生まれるトラブルを避けるためにも、訪日外国人観光客にも分かりやすくお店の料金体系や注文方法を説明できるPOPなどを用意しておいた方が良いでしょう。
言語対応だけでなく写真やイラストなども併記して一目でわかるようにしてあげると丁寧です。
独自メニューを作る
3つ目に紹介するインバウンド対策は「独自のメニューを作ること」です。
訪日外国人観光客向けのメニューやサービスを作って宣伝し、集客につなげる対策もあります。
例えば、寿司を握る姿や魚をさばく姿を披露してあげるパフォーマンス的なサービスをしたり、海外にもファンの多い日本のアニメや漫画などをモチーフにしたメニューを考えるなどの方法です。
その他にも、スタッフが侍や忍者などの服装をしてサービスをする居酒屋もあるようですし、メイド喫茶も人気があるようです。
日本でしか味わえないサービスを提供することで、旅の思い出作りのお手伝いができるでしょう。その体験を「素晴らしい!」と感じてもらえたら、訪日外国人観光客が自国の人に口コミ紹介して、さらなる新規顧客の獲得にも繋がります。
Wi-fi環境を整える
4つ目に紹介するインバウンド対策は「Wi-fi環境を整えること」です。
飲食店にWi-fi環境を整えることは訪日外国人観光客が便利になるだけでなくインバウンド集客にも役立ちます。
後述しますが、インバウンド集客で大切になるのは『インターネットを通じた口コミの拡散』です。
例えば、訪日外国人観光客の多くがSNSを利用しています。
実際に店舗に来店した観光客がその場で料理の写真などを撮影してSNSに「素晴らしかった!」と投稿してくれることも多いです。
その投稿を見た人が「私も日本でこのお店に行ってみたい!」と思い、将来的に来店してくれる可能性が高まります。
そして、SNSで写真を投稿する人は「どこにある飲食店なのか」が分かるように、その飲食店の位置情報を一緒に発信するのが一般的です。
そのため、飲食店にWi-fiなどのインターネット環境がないと投稿がしづらくなりますので、せっかく良質な口コミをしてくれるチャンスを逃してしまうことになります。
決済システムを導入する
5つ目に紹介するインバウンド対策は「決済システムを導入すること」です。
決済システムの導入とはクレジットカード決済や電子決済などでお会計ができるようにすることを指します。
日本に限らず普段慣れてない旅行先の通貨というのは覚えにくいものですので、訪日外国人観光客にとって普段から使い慣れている方法で決済ができるのは安心するでしょう。
国や地域によって所持しているクレジットカードに違いがあったり電子決済サービス等も異なりますので、できるだけたくさんの種類の対応している方が良いです。
しかし、あまり多くのものを導入するのもコストがかかるし・・・と、お考えであれば、必要最低限としてあなたの飲食店のターゲットとなる方が使用してそうな決済方法だけでも導入しておくようにしましょう。
こちらも前項のWi-Fi環境と同じく、店外にクレジットカードや電子決済に対応しているという多言語の看板を出すことで、訪日外国人観光客を歓迎しているアピールにもなります。
外国語を話せるスタッフを採用する
最後に紹介するインバウンド対策は「外国語を話せるスタッフを採用すること」です。
こちらは少しハードルが高いですが、一人いるだけでも言葉の壁だけでなく、文化・風習の違いの理解、接客面など多くのシーンで活躍してくれます。
番外編|補助金などを活用する
ここまでに6つのインバウンド対策について紹介しましたが、こうした対策を実施するにもコストがかかります。
しかし、インバウンド対策にかかるコストをサポートしてくれる国や自治体の補助金もあります。
・宿泊施設基本的ストレスフリー環境整備事業(官公庁)
・宿泊施設バリアフリー化促進事業(官公庁) etc.
あなたの飲食店があるエリアで、インバウンド対策にかかるコストをサポートしてくれる制度がないか調べてみてはいかがでしょうか?
飲食店のインバウンド集客5選
訪日外国人観光客が多く来る場所は有名観光地などが多いため、あなたの飲食店の競合も多いエリアとなる可能性が高いです。
競合が多い場合は、積極的に宣伝することが来店数の増加に繋がります。
ということで、本章からはインバウンド集客の方法を5つ紹介いたします。
あなた飲食店やターゲットに合った宣伝方法を選んで、積極的に実施すると良いでしょう。
日本人向けの集客とは異なる部分も多いので是非ご覧ください。
1.店頭看板や店内POPの掲示
まず最初に紹介するインバウンド集客は「店頭看板や店内POPの掲示すること」です。
前章で紹介したWi-fi環境やクレジットカード決済などができることを店頭にステッカーを貼って知らせる。
多言語対応したメニュー表があると店頭の看板で伝える。
「専用のメニューやサービスがありますよ!」とアピールする。
など、訪日外国人観光客を歓迎している飲食店であることを店頭看板や店内POPを通じて知らせることで集客に繋がる可能性が高まります。
2.SNS、ホームページ
旅行先の情報をインターネットやSNSで事前に調べるのは万国共通です。
そのため自社のホームページを多言語対応したり、訪日外国人観光客を歓迎していることを意識したSNSを運営するなどのインバウンド集客施策は高い効果を発揮するでしょう。
また、「Wi-fi環境を整える」の章でもお伝えしましたが、実際に店舗に来店した観光客がその場で料理の写真などを撮影してSNSに「素晴らしかった!」と投稿してくれることも多いです。
その投稿を見た人が「私も日本でこのお店に行ってみたい!」と思い、将来的に来店してくれる可能性が高まりますので、SNSは集客に大いに役立つというわけです。
そして、SNSで効果的に情報を拡散してもらえるように飲食店にWi-fiなどのインターネット環境を整えておくようにしましょう。
あなたの飲食店のSNSアカウントがあることや、「写真撮影OK」など投稿を促すようなメッセージを店頭や店内に掲示して伝えておくことで、より投稿してもらいやすくなるでしょう。
✓あなたの飲食店のホームページがまだ多言語対応していない・・・
✓SNSを運営していない・・・
✓Wi-fi環境がない・・・
などの場合、インバウンド集客に力を入れるのであれば今すぐ対応することをオススメします。
ちなみに、訪日外国人が利用しているSNSサービスは国によって異なっているので注意するようにしてください。
例えば、アメリカ人・韓国人・ヨーロッパの人々などの場合はInstagramやFacebookが多く、中国人ならWeibo(微博)、若者を中心に盛り上がりを見せているtiktok、飲食業界で参入がまだ少なめなYouTubeなど、注力すべきSNSサービスをあなたの飲食店で集客したいターゲットによって使い分けることをオススメします。
3.ポータルサイト
日本でも食べログやぐるなびなどのグルメポータルサイトで飲食店探しをする人が多いように、訪日外国人観光客もポータルサイトの情報を見る人は多いです。
あなたの飲食店も旅行者向けのサイトに登録することでインバウンド集客に繋がるでしょう。
例えば、トリップアドバイザーは旅行者向け口コミサイトとしては世界最大級です。
登録から掲載まで無料で利用できますし、専用アプリから店舗情報や写真などを登録でき、管理も簡単なので常に最新情報を維持することができます。
その他にも、SAVOR JAPANやYelpなど様々なサービスがありますのでインバウンド集客に力を入れるのであれば登録しておくことをオススメします。
4.マップ掲載の店舗情報をインバウンド向けに最適化
Googleビジネスプロフィールと中国向けサービス、両方の対策が重要です
訪日外国人の多くは、Googleビジネスプロフィール(Googleマップ)で飲食店を探しています。
とくに欧米・東南アジア圏の観光客は、旅行中に「Googleで“near me”と検索して、お店を選ぶ」という行動が一般的。
そのため、**Googleマップ上での見え方(写真・営業時間・口コミの数と評価)**が、お店選びの決め手になります。
まだ対策していない店舗は、今すぐGoogleビジネスプロフィールに登録し、情報を正確に整備することが必須です。
また、来店した外国人観光客には「良ければ口コミを書いてね」とさりげなくお願いしておくことで、高評価レビューを積み重ねやすくなります。
中国人観光客には「百度地図」と「大衆点評」の対策がカギ
ただし、中国人観光客はGoogleサービスを基本的に利用できません。
そのため、Googleマップの口コミや検索結果はほとんど見られていません。
では、何を見てお店を探しているかというと、主に以下のサービスです。
・百度地図(バイドゥマップ):中国最大の検索エンジン百度が提供する地図アプリ
・大衆点評(Dianping):中国版の食べログ・口コミサイト。店舗検索や予約も可能
どちらも中国語で使えること、中国人ユーザーのリアルな口コミが掲載されていることから、旅行中の飲食店選びに欠かせない存在になっています。
つまり、中国人観光客の集客を強化したいのであれば、Googleではなく「百度地図」や「大衆点評」上での情報整備が不可欠です。
・店舗名や住所の中国語表記の登録
・中国語メニューや写真の掲載
・必要に応じてモバイル決済(WeChat PayやAlipay)への対応
・口コミ対応や返信の工夫
こうした施策によって、中国語圏ユーザーにも安心して選ばれる店舗づくりが実現できます。
まとめ
・Google対策=欧米・アジア圏全体への基本対応
・百度、大衆点評対策=中国人集客に特化したピンポイント対策
両方を並行して行うことで、幅広い国からの訪日客を取りこぼさず集客することが可能になります。
「インバウンド対策=SNSや多言語メニューだけ」ではないという視点で、店舗情報の“見え方”を最適化していくことが大切です。
5.近隣施設との協力
次に紹介するインバウンド集客は「近隣施設との協力すること」です。
訪日外国人観光客の目的は飲食店の利用だけではありませんので、相性の良い近隣施設と協力して宣伝し合う方法もあります。
例えば、インバウンド集客に力を入れている土産物屋やマッサージ店などにショップカードやクーポンを置いてもらうようにお願いするなどです。
その他にも、観光地や商店街など自治体によっては独自のイベントを開催しているところも多いので関心があれば調べてみると良いでしょう。
6.店頭販売や実演
最後に紹介するインバウンド集客は「店頭販売や実演」です。
店頭販売や実演は言葉が通じなくても商品の魅力が伝わりやすくなりますし、インパクトもありますのでオススメです。
購買行動に繋がりやすくなるだけでなく、映えの効果も発揮しSNSでの情報拡散も期待できるでしょう。
もしも、あなたの飲食店でも店頭販売や実演できるスペースがあれば実践されてみてはいかがでしょうか?
以上、飲食店のインバウンド集客について具体策を5つ紹介いたしました。
あなたの飲食店に合いそうなものがあれば、ぜひ実践していただければ幸いです。
インバウンド対策に成功した飲食店の事例【厳選5選】
ここでは、訪日外国人から高く評価されている飲食店の中から、実際に成果を上げているラーメン店・居酒屋・焼肉店・カフェなど5つの成功事例を紹介します。いずれも、多言語対応、口コミ活用、体験設計、文化的配慮といった要素でインバウンド客の心をつかんでおり、飲食店経営者にとって気づきの多い内容です。
※レストンスターアプリの事例ではありません。
※敬称略
1.一蘭(ラーメン)
運営:株式会社一蘭
福岡発祥のラーメンチェーン「一蘭」は、いまや全国の主要都市や海外にも展開する人気店。とくに訪日外国人からの支持が高く、「外国人が行列を作るラーメン店」として知られています。
一蘭では、注文方法を自分でカスタマイズできる「味集中カウンター」や多言語対応のオーダーシート、券売機の整備などを通じて、接客不要でも安心して注文できる環境を整えています。また、宗教配慮として「豚不使用ラーメン」も開発し、多様な文化への対応にも力を入れています。
・SNSでも「体験型ラーメン」として話題となり、FacebookやInstagram、WeChatなどを通じて認知が拡大。
・海外にも出店するなど、日本を代表するラーメンブランドに。
▶ 参考ポイント: 「体験の一貫性」や「文化的配慮」は、訪日客の満足度と口コミ評価に直結します。
※引用元:一蘭 公式サイト、日経クロストレンド、トラベルボイス
2.ヤキニクバル 韓の台所(焼肉)
運営:株式会社フードリム
首都圏を中心に展開する焼肉店「韓の台所」は、トリップアドバイザーの「外国人に人気のレストラン」1位(2018年)に選ばれた実績があります。
外国人スタッフによる英語対応や、外国人レビューの獲得を意識した口コミ施策(POPで投稿促進など)により、訪日客の支持を集めました。英語・中国語メニューも整備し、言語の不安を感じさせない店舗づくりを徹底。
・外国人の口コミ評価が非常に高く、口コミがさらに集客を呼ぶ好循環を形成。
・一部店舗では来店者の約95%が外国人観光客という日も。
▶ 参考ポイント: 「口コミマーケティング」は無料かつ強力な集客手段。満足度の高い体験を提供することが拡散の起点になります。
※引用元:ぐるなびPRO活用事例、トリップアドバイザー・ニュースリリース
3.藁焼き炉端 海風土(居酒屋)
運営:株式会社ウィナー
福岡にある「藁焼き炉端 海風土(しーふーど)」は、エンタメ性の高い調理演出と韓国語・英語対応メニューで外国人観光客の心を掴んだ人気店です。
とくに、目の前で炎を上げる藁焼きの実演や、ドライアイスを使った刺身盛りの演出など、“映える”体験型演出がSNSで話題に。博多駅近くという立地もあり、海外からの観光客が毎日のように訪れています。
・外国人観光客の来店比率は平日でも50〜70%に達する。
・SNSや旅行ブログでも「絶対行くべき店」と紹介され、予約多数。
▶ 参考ポイント: 映える演出は“非言語コミュニケーション”。特に文化背景が異なる訪日客にとって、体験としての驚きや楽しさが評価につながりやすい傾向があります。
※引用元:ぐるなびPRO活用事例、食べログ、福岡観光ブログ記事
4.鍋ぞう(しゃぶしゃぶ・すき焼き)
運営:株式会社ワンダーテーブル
「旅好きが選ぶ!外国人に人気のレストラン」第1位を獲得した実績をもつ、渋谷の人気鍋店。専属の外国語スタッフ、4言語対応のメニューや店内案内、Wi-Fi・QR決済対応などインバウンド対策を徹底。しゃぶしゃぶを自分で作る“体験”も好評。
・年間40万人の訪日客が来店、口コミサイトでも高評価。
・TripAdvisorでは2年連続エクセレンス認証も取得。
▶ 参考ポイント: 多言語対応+体験型設計+口コミ支援の三拍子が成功要因。
※引用元:訪日ラボ、スマート観光推進機構、PR TIMES(ワンダーテーブル)
5.アキバフクロウ(体験型カフェ)
運営:合同会社GOBU
東京・秋葉原にある完全予約制のフクロウカフェ。SNS映え抜群の空間演出と、プロによる記念写真プレゼント、映画のような顧客体験設計で外国人に大人気。TripAdvisor「外国人に人気の体験・ツアー」部門で2年連続1位を獲得。
・フクロウとの触れ合い+高級感ある内装で非日常感を演出。
・多言語対応・WEB予約・ブックレット完備で対応力も抜群。
▶ 参考ポイント: 「映画のような体験」は心に残る。SNS戦略と演出設計の連動が鍵。
※引用元:訪日ラボ、TripAdvisor、アキバフクロウ公式サイト、PR TIMES
まとめ:今後のインバウンド対策に活かすには?
どの事例にも共通していたのは、**「言葉の壁を超える工夫」「訪日客の体験価値を高める設計」「口コミやSNSによる拡散導線」**でした。
訪日外国人は“料理を食べにくる”だけでなく、“日本らしい体験”や“驚き・ストーリー”を求めています。今回紹介した事例を参考に、ぜひ自店でも「来てよかった!」と思ってもらえるような仕掛けを検討してみてください。
インバウンドの現状と未来予測
この記事の最後にインバウンドの現状と未来予測をお伝えします。
2024年の訪日外国人観光客(インバウンド)は、ついに過去最高を更新しました。新型コロナウイルスによる入国制限が明けて以降、急速に回復したインバウンド需要は、今や多くの飲食店にとって再び大きなチャンスとなっています。
訪日外国人旅行者数は過去最多に
2024年の訪日外国人の年間総数は、約3,687万人に達しました。これは、これまで最多だった2019年(約3,188万人)を上回る新記録です。特に以下の国・地域からの来訪者が多く、東アジア圏が全体の中心を占めています。
・韓国: 約882万人
・中国: 約698万人
・台湾: 約604万人
・アメリカ: 約272万人
・香港: 約268万人
※出典:日本政府観光局(JNTO)
訪日外国人の観光消費額は約8.1兆円
訪日外国人による旅行消費額の総額も2024年は過去最高となり、約8兆1,395億円にのぼりました。これは、前年比+53.4%増、コロナ前の2019年(約4.8兆円)と比べて+69%増という驚異的な伸びです。
この消費額の増加には、円安の進行が大きく影響しています。日本円の価値が下がることで、訪日外国人にとって「日本での買い物や外食が割安になる」ため、旅行意欲の高まりや消費単価の増加につながっています。
また、ビザ緩和や航空路線の復活も後押しし、日本国内でのインバウンド消費の存在感はますます高まっています。
※出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」
飲食(外食)費用だけで約1.7兆円
訪日外国人の消費項目のうち、飲食(レストランなどの外食)に使われた費用は全体の約21.5%を占め、金額にして約1兆7,460億円でした。
「宿泊費」や「買い物代」に次いで大きな項目であり、飲食店にとって見逃せない重要な市場であることが分かります。
しかもこの数字は、コロナ禍を除けば毎年右肩上がりで増加しており、“食”の魅力が訪日外国人の旅行目的の一つになっていることを裏付けています。
※出典:観光庁「訪日外国人消費動向調査」(2024年1月〜12月)
2025年も過去最速ペースでインバウンドが増加中
2025年に入ってからも、訪日外国人の勢いはさらに加速しています。観光庁や政府観光局によると、2025年3月の訪日外国人数は約349万8000人にのぼり、前年同月比で13.5%増加しました。これは3月としては過去最多の記録です。
そして、2025年1月〜3月の累計では約1,053万7000人と、過去最速のペースで1,000万人を突破しています。
特に春の桜シーズンを狙って訪日する旅行者が多く、中国やアメリカを中心に観光客が急増しています。加えて、円安による“日本の割安感”も、観光客の増加と消費拡大を強く後押ししています。
※出典:観光庁・日本政府観光局(JNTO)発表、2025年4月報道資料より
今こそ、飲食店はインバウンド対策を再強化すべき時
このように、2025年もこれまで以上のインバウンド増加が見込まれており、飲食業界にとっては再び大きな追い風が吹いています。
円安や“日本食ブーム”、SNSによる情報拡散も相まって、訪日観光客が「行ってみたい飲食店」を事前にチェックして来店するケースも増えています。
いまのうちからしっかりとインバウンド対策を整えておくことで、他店と差別化し、大きな集客チャンスを掴むことができるでしょう。
以上、飲食店のインバウンド対策と集客の具体策、そして成功事例を紹介させていただきました。
この記事の内容が、あなたの飲食店経営のヒントに少しでもしていただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。