人件費や雇用維持をサポートしてくれる雇用調整助成金(新型コロナウィルス感染症の影響による特例)について徹底解説
【2020年5月20日に最新情報に更新】
この記事では、店舗の人件費や雇用維持をサポートしてくれる雇用調整助成金について解説します。
こちらは今回の新型コロナウィルス感染症の影響によってかなり条件が緩和され、期間限定ですが比較的使いやすい助成金となりました。
まずは雇用調整助成金とは何か?そしてどんなサポートをしてもらえるのか?最後に補助金・助成金の専門家である社労士の先生から書き方を学べたり、相談できるオンライン講座のご案内をさせていただきます。
従業員を雇っている方であれば必ず参考にしていただける部分がありますので、ぜひ最後までご覧ください。
内容については株式会社ソフィアコミュニケーションズに在籍する「補助金・助成金専門の社労士であり中小企業診断士であられます上村和弘先生」に監修してもらっています。
※上記サービス購入前のご相談・お見積り・資料請求などはこちらのフォームよりお気軽にお問合せいただけます。
※この記事・動画の内容は2020年4月20日時点での情報です。最新情報は厚生労働省のホームページでご確認ください。
【4/25 追加情報】
①要件を満たしている事業者には100%保障される方針が発表されました。→詳細はこちら
②助成金額の上限が15,000円程度になる方針が発表されました。 → 決定は第二次補正予算成立後?
【5/20 追加情報】
①郵送での申請でしたが、オンライン申請ができるようになりました。→要領 →申請先
②小規模事業者の申請手続が簡素化されました。→実際に支払った休業手当 × 助成率
③小規模事業者以外の算定方法が簡素化されました。
→ 労働保険確定保険料申請書(←以前と同じ) or 源泉所得税の納付書(←NEW)
→ 所定労働日数を休業実施前の任意の1ヶ月をもとに算定
④計画届の提出が必要でしたが、提出しないでよくなりました。
⑤支給申請は対象月の2ヶ月以内でしたが、期限が延長されました。 → ~5/31までの休業は8/31までに申請
※書き方講座やオンライン相談のお申込みも上記からとなります。
<この記事の目次>
1.新型コロナウィルスの影響によって期間限定で使いやすくなった助成金
1-1.対象となる事業者は?
1-2.対象となる従業員は?
1-3.対象となる事業者の条件は?
1-4.どれくらいサポートしてもらえるのか?
3.雇用調整助成金のメリット
3-1.V字回復に対応できる
3-2.雇用が低コストで維持できる
3-3.従業員との信頼関係が深まる
4.雇用調整助成金のデメリット
4-1.後払い
4-2.受かるかどうか分からない
5.オンライン書き方講座&相談会のご案内
5-1.書き方講座
5-2.グループ相談会
5-3.個別相談
目次
1.新型コロナウィルスの影響によって期間限定で使いやすくなった助成金
雇用調整助成金の新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた特例とは何かについてですが、
こちらは、新型コロナの影響による事業縮小などを受けて、従業員を休業させざるを得なくなった場合、その休業手当の一部を助成するといった制度です。
雇用調整助成金は昔からあった制度なのですが、今回の新型コロナウィルスの影響によって期間限定ですが、かなり使いやすくなりました。
1-1.対象となる事業者は?
それでは、新型コロナウィルス感染症の影響を踏まえた特例を中心に、どのような助成金なのか紹介します。
まずはどんな事業主が助成金をもらえるのか?からお話します。
対象となる事業主は、全国の雇用保険適用事業所の事業主であれば申請可能です。
大企業・小規模事業者・NPO法人と、今回の特例によって事業所設置後1年未満でもOKです。
ちなみに緊急事態宣言が発令中の地域じゃなくても大丈夫です。
1-2.対象となる従業員は?
次に「対象となる従業員について」ですが、こちらは理屈としては1月24日~6月30日までの休業が対象となります。
通常は6ヶ月以上継続的に雇用され、雇用保険に加入している従業員が対象です。
しかし今回の特例によって、雇用6か月未満の新卒社員や、雇用保険に加入していない(つまり、労働時間が週20時間未満のパート・アルバイト)も休業の対象になります。
ただし、この特例が認められるのは、2020年4月1日~6月30日までに従業員にさせた休業が対象となります。
つまり1月~3月にさせた休業は特例の対象外となりアルバイトの人などは不可となります。
1-3.対象となる事業者の条件は?
次に「対象となる事業者の条件について」ですが、こちらは『生産指標要件1ヶ月5%以上低下していること』が条件になります。
こちらはすごく簡単に言うと「同月前年比5%以上の売上低下が4~6月までの間に1回でも発生している」ということです。
例えば2019年4月と2020年の4月の売上を比べて5%以上低下していればOKという感じです。
※通常は生産指標要件の10%以上の低下が3ヶ月発生していることが条件だったため、かなり緩和されています。
ちなみに全店舗じゃなくても1店舗だけでもOKです。
例えばあなたが「企業全体は5%低下してないけど、もらえないかな…でも1店舗は5%以上低下しているんだけど・・・」という場合だったとします。
その場合でもハローワークへ雇用保険事業所非該当承認の申請をしていれば対象となり、助成してもらえる可能性があります。
こちらはケースバイケースですので該当する方はハローワークにお問合せください。
【雇用が増えた】
そして、対象となる事業者の条件は、もう1種類ありまして「雇用数が増えた」という場合も対象となります。
こちらは最近3か月で雇用した人数が前年と比べて増加していても対象となります。
【休業手当】
つまり、対象となる事業者の条件は「生産指標要件1ヶ月5%低下」もしくは「雇用が増えた」ということが前提となり、それにプラスして従業員に対して『休業保障をした』ことが条件になります。
休業手当とは、企業が従業員を休業させた場合に、従業員に支払う賃金保障のことです。
※労働基準法26条:「使用者の責に帰すべき事由」による休業の場合に、会社(使用者)が休業手当(平均賃金の60%以上)を支払わなければならない。
つまり、平均賃金の60%以上を休業手当として支払った事業者が対象となります。
【例】月給の従業員
ここで休業手当の例を紹介しますと、月給の従業員の場合は
1月の給与 → 25万円
2月の給与 → 25万円
3月の給与 → 25万円
という固定給だった場合は、1日あたりの平均賃金は8,241円になります。
計算式は、固定給の合計「25万円+25万円+25万円」に、暦の日数を割ります「1月は31日+2月は29日+3月は31日」となります。
休業手当は、その平均賃金の60%以上を支給することですので、8241円の60%となり1日あたりの休業手当は4,945円となります。
この金額以上を補償してあげることが条件となります。
【例】時給の従業員
次に「時給の従業員」の場合をお話しますと、
例えば時給1,100円で1日8時間勤務のアルバイトスタッフだったとして
1月の給与 → 132,000円(15日勤務)
2月の給与 → 88,000円(10日勤務)
3月の給与 → 88,000円(10日勤務)
こうすると1日あたりの平均賃金は3,384円となります。
計算式は先程同じで、給与の合計「13.2万円+8.8万円+8.8万円」に、暦の日数を割ります「31日+29日+31日」となります。
こちらが原則ですが、最低保証という考え方がありまして、最低保証が原則を上回る場合は、最低保証金額が適用となります。
この場合の最低保証というのは
給与の合計「13.2万円+8.8万円+8.8万円」に、暦の日数ではなく勤務した日数の合計を割ります「1月の15日+2月の10日+3月の10日」、
こちらの6割を補償しますので0.6をかけて5,280円が最低保証となります。
原則の金額を上回っていますので、この場合は5,280円以上を補償した場合が助成金の対象となるわけです。
そして、こちらは全ての従業員を休業にしなくてもOKです。
・客数が落ち込んだ店舗のみを短時間休業した
・常時配置が必要な者以外を短時間休業した
・同じ勤務シフトの労働者が、同じ時間帯に短時間休業した、
(例:8時間3交代制のシフトを6時間4交代制にしたとすると、その2時間分を短時間休業と扱う)
以上のように「売上が落ちており、従業員に休業補償をした」事業者が対象となります。
1-4.どれくらいサポートしてもらえるのか?
次にどれくらいサポートしてもらえるのか?をお話します。
企業が従業員に支払った休業手当に対して、中小企業は最大で90%、大企業は最大で75%【5/20時点】要件を満たせば100%を助成してもらえます。
こちらは最近、リストラなどの理由で解雇を行った場合は補助率が少し下がりまして、その場合、中小企業は80%、大企業は約66%となります。
ただし、補助額には上限がありまして、ひとり1日あたり最大8,330円までとなります。
【注意】
【5/20時点】申請手続きと助成金額の算定方法の簡素化されました。
◆小規模事業者
小規模事業者の場合は、雇用調整助成金の手続きが少し簡単になりました。
以前は、労働保険確定保険料申告書から助成金額を算出しており複雑でしたが、今回の発表では以下のようにとてもシンプルになりました。
実際に支払った休業手当 × 助成率(60%以上)
◆小規模事業者以外
そして、小規模事業者以外の場合でも、申請手続きに必要な書類が簡素化されました。
以前は、労働保険確定保険料申告書の提出が必要でしたが、今回の発表では源泉所得税の納付書でもOKになりました。
そして、年間の所定労働日数の算定方法も「任意の1ヶ月をもとに算定してOK」という形でとてもシンプルになりました。
ここで、少し注意して頂きたい「助成金額についてよくある誤解」を紹介します。
こちらはあなたが支払った休業手当に対して最大90%が助成されるわけではありません。
こちらは過去の実績から平均賃金などを計算されまして、その金額から最大90%を助成されるいう感じですので、
ここを誤解していると、助成金が支給された後に「あれ?思ったより少ないな」と感じると思います。
この平均賃金額を算出するのは、けっこう複雑でして
雇用保険の算定基礎となる賃金総額
÷平均雇用保険被保険者数1ヶ月分
÷年間所定労働日数
という計算式で平均賃金額を算出し、その平均賃金額に休業手当の支給率(60%以上)をかけた金額の最大90%が助成されるというわけです。
もちろんこちらには先程説明した上限額があります。
このような複雑な計算方法になりますので、このあたりは書き方オンライン講座などで社労士の先生の解説がありますし、オンライン相談もありますのでそちらを利用してください。
【教育訓練を実施】
さらに「休業中の従業員に教育訓練を実施すると、助成金額が加算される」というものもあります。
こちらは、マナー研修、パワハラ・セクハラ研修、メンタルヘルス研修など・・・あなたの事業に関わりのあるものであれば、ビジネス一般に関する研修も対象となります。
また、自宅でのインターネット等を用いた教育訓練も対象となります。
なお、研修させるにあたり、1日もしくは半日間かけて受講させる必要があります。
教育訓練を実施した場合に、中小企業なら2,400円、大企業なら1,800円が支給されます。
ただ、こちらは録画した動画講習は認められず、休業手当を60%ではなく100%にしないといけないため、かなりハードルが高いように思います。
こちらに関しては自分の店舗でやろうとしている講習が、助成対象となる教育訓練となるか不明な場合が多いと思いますので、教育訓練の実施前に「対象となるか?」を管轄の労働局などに問合せるようにしてください。
以上が、この助成金がサポートしてくれる金額でした。
若干複雑な部分もあるものの、これはかなり助かりますよね。
2.給付の流れ
それでは、次に給付されるまでの流れについてお話します。
こちらもかなり緩和されました。
まず売上が下がってしまって「事業が縮小した」
↓
そして次に休業計画を立てて、労使間協定を結びます。
こちらは、どれくらい休ませるのか?休業手当の額は?などの計画を立て、その計画を従業員の代表と話し合います。
その内容を休業協定書としてまとめます。
↓
そして次に「休業実施」をします。
こちらは通常であれば計画届を提出してから休業などを実施ますが、今回の特例では届け出は後で良いということ緩和されています。
ですので、まずは休ませてしまって後から届け出を出してOKです。
↓
そして「計画届」を提出します。
【5/20時点】計画届の提出は不要になりました。
ちなみにこちらは1ヶ月毎に出すことになっておりまして、事後の届け出が認められるのは最初の1回のみです。
あとの2ヶ月目以降は事前の届け出が必要となりますので注意してください。
↓
そして「支給申請」を行い審査されます。
↓
そして、支給か不支給が決定すると流れになります。
ちなみに、支給申請した後に助成金が支払われるまでの期間ですが「雇用調整助成金FAQ」では1ヶ月程度と記載されています。
しかし実際は2ヶ月以上かかると予想しますので、それなりに時間がかかると考えておいた方が良いでしょう。
3.雇用調整助成金のメリット
それでは、雇用調整助成金のメリットについてお話します。
3-1.V字回復に対応できる
メリットは大きく3つあると考えておりまして、まず1つ目は「V字回復時に対応できる」ということです。
新型コロナウィルスが収束を見せた後に、消費が加速するという考え方もあります。
その時に「従業員を解雇してしまったため対応できなきなかった…」となってしまうのは、まさに弱り目に祟り目という感じですよね。
3-2.雇用が低コストで維持できる
次に「雇用が低コストで維持できる」というメリットがあります。
雇用調整助成金を活用することで、従業員を低コストで維持できるます。
求人などをかけて従業員一人当たり確保するコストは莫大なものになりますので、こちらは大きなメリットですよね。
せっかく教育した従業員を手放さずに済む可能性が高まります。
3-3.従業員との信頼関係が深まる
そして最後3つ目は「従業員との信頼関係が深まる」というメリットです。
「こうした不測の事態にも、色々と対応をしてくれて自分たち従業員の生活を守ってくれた」と、信頼関係が深まります。
以上のように非常に大きなメリットがあります。
今回のような大規模な緊急事態には 「売上を下げない」ということよりも、まずは「生き残る」ことを重要視する!という風に考えると絶対に活用した方が良い助成金だと言えます。
4.雇用調整助成金のデメリット
一方で、この助成金のデメリットもお話します。
デメリットは大きく2つあると考えています。
4-1.後払い
まず一つ目は「この助成金は後払いである」ということです。
そのため、従業員に支払う休業手当の現金が必要になります。
例えば、平均賃金25万円の従業員を4月に5人休業させたとすると、25万円かける5人分で合計が125万円となり、その6割を補償したとすると75万円を休業する従業員に支払います。
この場合は75万円のキャッシュアウトとなるわけです。
4-2.受かるかどうか分からない
そして、2つ目は「受かるかどうか分からない」というデメリットがあります。
この助成金は実施後に申請して支給・不支給が審査によって決まります。
そのため支給されない場合もあり得ます。
そうならないように、しっかりと書類を作って申請するようにしましょう。
5.オンライン書き方講座&相談会のご案内
さて、それでは最後に、ご自宅からでも受講できるオンライン講座のご案内をさせていただきます。
5-1.書き方講座
オンラインのサービスは3種類用意しておりまして、まずは社労士の先生による書類の書き方講座を無料で開催します。
こちらは、雇用調整助成金の書類を作るための計算など、前は社労士など専門家のサポートがないとかなり難しかったのですが、今はだいぶ緩和されています。
用意する書類に対してどんなことを書けば良いのか?を助成金・補助金を専門にしている社労士の先生が解説してくれます。
こちらは放送開始日時以降であれば、いつでも何回でも視聴可能です。
「相談窓口はこちら」のボタンをクリックして特設ページよりお申込み下さい。
※書き方講座やオンライン相談のお申込みも上記からとなります。
5-2.グループ相談会
次に「グループ相談会」を用意しております。
書類作成の手間が緩和されたといえ、ものすごく簡単というわけではありません。
最初にお伝えしておきますが、書き方講座に参加しても「作成するためにはかなりの頑張り」が必要になります。
そして「自分の店舗の場合はどうなるのか?」などの不明点も出てくるかもしれません。
そのため、専門家の社労士の先生に質問できるオンライン個別相談会を用意させていただきました。
こちらは専門家による相談ですので完全無料ではありませんが、こういう時期ですので1時間1,000円という低価格で相談会に参加できます。
相談会はZOOMというオンライン会議システムを利用して行い、1回最大5名までの参加となります。
こちらは「相談窓口はこちら」のボタンをクリックすると表示される特設ページから開催日時のチケットを別途販売しておりますので、そちらからご購入下さい。
席には限りがありますので、お早めにご購入ください。
※書き方講座やオンライン相談のお申込みも上記からとなります。
5-3.個別相談
そして「個別で徹底的に相談・サポートして欲しい」という方向けにオンライン個別相談も用意しております。
こちらもこういう時期ですので、破格の1時間5,000円で補助金・助成金の専門である社労士の先生に相談可能です。
こちらも「相談窓口はこちら」のボタンをクリックすると表示される特設ページから開催日時のチケットを別途販売しておりますので、そちらからご購入下さい。
席には限りがありますので、お早めにご購入ください。
※書き方講座やオンライン相談のお申込みも上記からとなります。
さて、それではここまで雇用調整助成金の解説をしてきましたが、現状すでにリーマンショックの時よりも条件を緩和させているなど厚生労働省は「雇用と企業の維持に、かなり力を入れて取り組んでいる」という印象を個人的に持っています。
そのため、今後さらに制度が変わる可能性は十分にあります。
例えば、現状では特例期間は6月までですが新型コロナウィルスが収束しなければ期間が延長される可能性も考えられます。
とにかくまずは無料の書き方講座に参加してください。
そして、現状把握が大事なのでしっかりと自分でも調べるか、できれば相談会も参加していただければと思います。
それでは今回の記事は以上です。
最後まで読んでいただき誠にありがとうございました。