飲食店禁煙化の対策について事例を交えて詳しく解説

2020年4月から受動喫煙を防ぐ対策の一環として、特定の飲食店が全面禁煙にすることになりました。

あなたの経営する飲食店では、どのような禁煙化対策をされましたか?

この記事では、飲食店が禁煙化になった背景から、売上が下がってしまうものなのか?禁煙化で売上をアップさせる具体策は?などなど詳しく解説します。

※この記事は飲食店の禁煙化について解説しますが、喫煙を否定する意味ではありません。

 


<この記事の目次>

1.飲食店禁煙化の背景は?
 1-1.受動喫煙の影響
 1-2.法律が制定された
 1-3.東京オリンピック

2.日本の喫煙率はどれくらい?

3.禁煙化に対する一般の声
 3-1.たばこを吸う人の声
 3-2.たばこを吸わない人の声
 3-3.禁煙した人の声

4.禁煙化の対象となる飲食店
 4-1.地域によってルールが異なる
 4-2.違反者には罰則が…

5.飲食店の禁煙化の影響は?
 5-1.飲食店禁煙化のデメリット
 5-2.飲食店禁煙化のメリット

6.早めに禁煙化に取り組んだ飲食店は?
 6-1.すかいらーくホールディングス
 6-2.サイゼリヤ
 6-3.銀座ルノアール
 6-4.串カツ田中

7.飲食店の禁煙化対策を成功させるには?

 

 

1.飲食店禁煙化の背景は?

まず最初に、飲食店の禁煙化がどのような背景で進められたを解説いたします。

 


1-1.受動喫煙の影響

たばこの煙には、喫煙者が直接吸い込む煙(主流煙)と、喫煙者が吐き出す煙(呼出煙)と、火のついたたばこから出る煙(副流煙)の3つの種類があります。

実は副流煙はこの3つの煙の中で一番健康に悪影響を与えると考えられています。

受動喫煙とは、たばこを吸わない人が副流煙を吸ってしまうことを言います。

 


1-2.法律が制定された

健康増進法の一部が2018年に改正され、東京都では「受動喫煙防止法条例」が制定されました。

これによって喫煙に対してルールができました。
そして、このルールを破った場合は罰則が科せられるようになりました。

 


1-3.東京オリンピック

いま、世界各国では急速に禁煙化が進んでおり、日本は若干遅れ気味でした。

しかし、2020年に開催予定の東京オリンピックによって、世界各国から多くの人が東京に来ることが予想され急速に禁煙化が進んでいきました。

 

 

2.日本の喫煙率はどれくらい?

たばこ税が少しずつ増税されていることや、喫煙場所の減少などもあり、日本人の喫煙率は年々少なくなっています。

全国たばこ喫煙者率調査によると、1989年にの喫煙率は全体の約36%でしたが、直近の2018年の調査によると約18%となり、なんと半分にまで減ったようです。

ちなみに男女比率は「男:27.8%」「女:8.7%」と男性の方が多いという結果が出ています。

つまり、男性客の多い飲食店が禁煙化の影響を受けやすいということになります。

 

 

3.禁煙化に対する一般の声

さて、それでは禁煙化に対する一般イメージはどのようなものなのでしょうか。

2020年1月~2月にジョンソン・エンド・ジョンソンさんが行ったアンケート調査が興味深かったので紹介します。

同社は「たばこを吸う人」「たばこを吸わない人」「禁煙した人」の3種類の人を対象に調査を行いました。

 


3-1.たばこを吸う人の声

たばこを吸う人の72%以上が健康増進法改正によって「肩身が狭い」と感じているようです。

↓ ↓ ↓

【Q】
あなたは、近頃の法改正による喫煙環境の変化をどのように捉えていますか?
気持ちに最も近いものをお選びください。

喫煙に関するアンケート①

そして、この禁煙化を機に「禁煙」を検討している人は全体の80%以上と大多数となったようです。

↓ ↓ ↓

【Q】
今回の法改正をきっかけに、禁煙したいと感じますか?

 


3-2.たばこを吸わない人の声

直近1年間で受動喫煙を経験した場所で一番多いのが「外」であると約58%が回答しました。

そして、見過ごせないのが第二位と第三位です。

第二位「バーなどを含む居酒屋」:約42%

第三位「カフェやレストランなどの飲食店」:約38%

↓ ↓ ↓

【Q】
直近一年間で、受動喫煙を経験したことがある場所を全て選択してください。

どちらも飲食店で、こうしたデータを見ると飲食業界は禁煙化によって大きな影響を受けるであろうことが分かります。

 

 

そして、自分の身近にいる「たばこを吸う人」が周りに困った影響を与えていると思う人は32%。

↓ ↓ ↓

【Q】
あなたの周りの身近な喫煙者は、あなたが喫煙に伴う弊害(頻繁なタバコ休憩や受動喫煙など)で困った経験があることに気付いていますか?
最もあてはまるものをひとつ選択してください。

 

それを「たばこを吸う人」に伝えたことがある人が36%いたそうです。

↓ ↓ ↓

【Q】
あなたが喫煙に伴う弊害で困っていることを身近な喫煙者本人に伝えたことはありますか?
最もあてはまるものをひとつ選択してください。

飲食店などの施設が禁煙・分煙になることについて好ましく感じている人は全体の約80%以上にもなります。

↓ ↓ ↓

【Q】
飲食店や施設側が進んで禁煙/分煙を勧めてくれることについてどのように思いますか?
最もあてはまるものをひとつ選択してください。

 

たばこを吸わない人にとって飲食店の禁煙化は喜ばしいことのようですね。

 


3-3.禁煙した人の声

前項と同様に、自分の身近にいる「たばこを吸う人」が周りに困った影響を与えていると思う人は46%。

それを「たばこを吸う人」に伝えたことがある人が45%いたそうで、やはり元々たばこを吸っていた人の方が気付きやすく指摘することも多いようです。

 

 

4.禁煙化の対象となる飲食店

厚生労働省の発表では、禁煙化の対象となる飲食店は全体の55%ほどだと推計しています。

逆に残りの45%の禁煙化対象外となるのはどんな飲食店はかというと、2020年4月1日時点で営業しており、客席面積が100平方メートル以下で資本金が5,000万円かの小規模な飲食店は例外となり店内の喫煙が可能となっています。

喫煙可能な飲食店は20歳未満の客を入店させることはできません。こちらは従業員も同様で20歳未満を雇用できません。

そして、喫煙ができる飲食店は、お店の入り口の目立つ場所に「喫煙可能室(加熱式たばこ専用喫煙室)がある」という表示を掲示する必要があります。

 


4-1.地域によってルールが異なる

ただ、上記は国が定めた「健康増進法改正」であり、東京都などの各自治体では独自のルールがあることが多いです。

例えば東京都の受動喫煙防止条例では、小規模な飲食店でも従業員がいるのであれば禁煙にしなければなりません。

東京都内の飲食店では約84%が禁煙化の対象となっています。

 


4-2.違反者には罰則が…

改正健康増進法では、飲食店でたばこを吸った人よりも吸わせた飲食店の方が罰則は厳しくなっています。

喫煙禁止場所でたばこを吸った人は30万円以下の罰金となりますが、紛らわしい標識や喫煙室の設置基準違反をした飲食店は50万円以下の罰金となっています。

 

 

5.飲食店の禁煙化の影響は?

帝国データバンクが2020年2月に行った調査によると、禁煙化はマイナスの影響があると答えた飲食店は36.2%と不安を感じる経営者はやはり多いです。

 


5-1.飲食店禁煙化のデメリット

まず、飲食店が禁煙化することのデメリットを紹介します。

やはり一番多い懸念は「たばこを吸う人が来なくなる」ということでしょう。

たばこを吸う人は30~50代の男性が最も多く、個の客層をメインターゲットにしている飲食店は客数が減る可能性があり影響が出るでしょう。

そして、たばこをお供にお酒を飲む人の割合も高いです。そのため利益率が高いためドリンクメニューがある飲食店でも、客単が下がる可能性があり影響が出ます。

さらに、禁煙化のための設備投資にお金がかかってしまった…という飲食店経営者様の声もよく耳にします。

禁煙化に関する補助金制度もあるにはありますが、準備が間に合わずに結局自腹になってしまった…という方も多いのではないでしょうか。

 


5-2.飲食店禁煙化のメリット

一方で飲食店の禁煙化は悪いことばかりではありません。
ちゃんとメリットもあります。

禁煙の飲食店を求めている客層を新しく獲得することができます。

禁煙の飲食店を求めている客層とは、例えば子連れファミリー層や女性客などが考えれるでしょう。

また、灰皿を片付けるなどの業務が不要になります。

あとは、「たばこを吸う人」と「たばこを吸わない人」との間に起こるトラブルが発生しなくなる、というメリットも考えれます。

 

 

6.早めに禁煙化に取り組んだ飲食店は?

飲食店の禁煙化は2020年4月に全面実施となりますので、禁煙化によってどのような影響が出たのか?十分なデータはまだありません。

こちらは追記していく予定です。

それでは、一足先に禁煙化に踏み切っていた飲食店はどのような影響が見られたのか?
本章でいくつか紹介します。

 


6-1.すかいらーくホールディングス

ガスト、バーミヤン、ジョナサン、夢庵など多くのブランドで運営するファイミリーレストランチェーンの大手です。

2019年9月から敷地内にある全て禁煙にしました。

IRレポートによると禁煙化を実施した月は、既存店で客数が4.4%も減少したようです。

やはり「たばこを吸う人」の来店が減ったことが原因でしょう。

ただ、客単価が6.2%もアップしたこともあり、売上でみると1.5%アップに落ち着いたようです。

すかいらーくホールディングスでは、ただ全面禁煙にしただけでなく、その対策として受動喫煙を望まない客層に配慮した環境を作りました。

過去に喫煙ブースとして使っていた場所を、キッズルームやベビールームとして利用できるスペースに改装するなど子供連れでも安心して利用できるよう工夫しました。

また、スタッフにもケアをしたようで、禁煙支援ツールの支給や、禁煙するための通院費用を負担するなどの工夫もあるようです。

 


6-2.サイゼリヤ

イタリアンファイミリーレストランの大手チェーンであるサイゼリヤも2019年9月までに全店舗禁煙にしました。

ちなみに、それ以前は店内で喫煙席を設ける分煙でした。

サイゼリヤは実施後に前期比2.3%マイナスと苦戦をしたようです。

サイゼリヤといえば2015年頃に「ちょい飲み」の場として人気が出ました。

ミラノ風ドリア:299円
ペペロンチーノ:299円
グラスワイン :100円

この驚きの安さで「食事を楽しむ場」としてだけではなく「居酒屋の代わりにする」という「サイゼ飲み」という言葉も流行したくらいです。

やはり「お酒」と「たばこ」はセットで考える人が多いのか禁煙化にしたことによって客数が減ったことが要因の一つでしょう。

 


6-3.銀座ルノアール

銀座ルノアールといえばレトロな雰囲気でサラリーマンがたばこを吸いながら休憩したり、商談で利用するというイメージがありますよね。

しかし、同社は少しずつ分煙化を進めていました。

それと同時に店内の雰囲気も「大正ロマン」から「昭和レトロ」にデザインチェンジ。

それら影響もあり女性客が3割以上も増加し、2019年4~9月の決算発表によると売上高が5.4%もアップしています。

 


6-4.串カツ田中

日本全国だけでなく海外にも出店している居酒屋チェーン店「串カツ田中」では2018年6月に全席禁煙という方針を発表しました。

ファーストフードや先に紹介したファミリーレストランと違い居酒屋には禁煙化は厳しいのでは?というイメージもあって串カツ田中は多くのメディアで話題になりました。

2018年11月期の連結決算では3期連続の増収増益となり、既存店舗の売上は前期比2.6%もアップと好調です。

様々なメディアで取り上げられたことだけでなく、子供向けのサービスにも強化を入れたことでファミリー層を上手く取り込んだ飲食店禁煙化対策の好事例と言えるのではないでしょうか。

 

 

7.飲食店の禁煙化対策を成功させるには?

先に禁煙化対策を行っていた飲食店の事例から見ても、「たばこを吸わない人」を取り込む工夫が大事であることが分かります。

ただ、「たばこを吸う人」のことも気遣えるような販促ができることが理想的であると私たちは考えます。
例えば、電子タバコの充電サービスや、消臭スプレーのサービスだけでなく、たばこを楽しめるように外の喫煙ルームをオシャレな雰囲気にするなどの工夫も大切になるのではないでしょうか?

羽田空港喫煙所

例:羽田空港喫煙所

 

そして、『全面禁煙となりましたので「タバコを吸わない人」はもちろん、「タバコを吸う人」にも快適に過ごせずお店作りです』とお客様にお伝えすることが大事になります。
ホームページやSNS、Googleマイビジネスにそのような情報を投稿し新規客に向けてアピールするようにしましょう。
さらに一番大事になる既存客へのアピールはメールやDMなどで、しっかりと行うようにしましょう。

push通知の読んでもらいやすい時間帯

私たちが提供する飲食店オリジナルアプリ作成サービス「レストランスター」をご利用いただいていう飲食店様ではアプリ会員にメッセージを配信するようしています。

まだ、禁煙化で飲食店にどのような影響が出るのか?データが足りないため不明な部分もありますが、「飲食店経営に最も寄り添っているアプリ制作会社」として私たちは飲食店様・たばこを吸うお客様・たばこを吸わないお客様と全ての方に喜んでもらえる販促ができるように今後も徹底サポートしていきます。

 

新型コロナウィルス、禁煙化、と様々な変化がありますが、こうした変化に負けないために一番重要なことは顧客台帳経営をしっかりと行うことであると私たちは確信しています。
お客様との絆が強ければ、世の中の変化に負けずに対応していくことができます。

 

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また、事例などを発表できるようになりましたら追記したいと思います。

今回は以上です。
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。

この記事を書いた人
アクティブ・メディア株式会社 飲食店サポート事務局
店舗公式アプリ作成サービスを通じて飲食店の顧客台帳経営と販促をサポート。 その内容が「Withコロナ時代の即戦力アプリ」、「最も飲食店経営に寄り添ったサービス」として農水省後援の外食産業貢献賞を受賞する等、飲食業界や公的機関から高く評価。 このコラムでは3,000店以上のサポート実績から得た独自ノウハウや事例を公開する等、飲食店経営に役立つ情報を発信している。