飲食店経営に役立つ!顧客管理・マーケティング理論
私たちは飲食店オリジナルアプリ作成サービス『レストランスター』を通じて、クライアントである飲食店様の顧客管理・分析・育成をサポートしていております。
私たちがどのような理論に則ってサポートしているのか?マーケティングのお話や事例を交えて詳しく紹介します。
飲食店経営において顧客管理やマーケティングをどのように活用するのかを知りたい方も是非ご一読ください。
<この記事の目次>
4.本当に怖いクレームとは?
4-1.顧客は、感覚ではなくデータで把握しましょう!
4-2.本当は怖い“見えないクレーム”
8.RFM分析
8-1..なぜ最新来店日が重要なの?
8-2.RFM分析の罠!?
目次
1.CSとCRMの違いとは?
CS(Customer Satisfaction)は顧客満足の事ですね。
CRM(Customer Relationship Management)とは、直訳すれば、顧客の関係性を管理するという事になります。
CSとの違いにおいて、重要なのは「M」つまりマネージメントの発想です。
しかしCRMは、日本では受け入れ難い要素があるようです。
実際にCRMのアドバイス業務を行っている際に私たちが経験した話ですが…
九州で有名な和菓子製造販売会社の経営者はこう言いました。
「お客様を区別すると店頭で対応に困る」と。
つまりは、それぞれの顧客グループ(セグメント)に対応した区別化プログラムを、あからさまに店頭で展開するとクレームが発生してしまうと言うのです。
※ちなみに、このそれぞれの顧客グループに対応した顧客区別化プログラムをFSPと言い、CRMの考え方に沿った戦略の具体策です。これは、詳しく後述します。
いかにも日本的な発想だと妙に感心しました。
和を重んじる日本人にとってCS(顧客満足)という考え方は、お客様に対し均一的で区別する事がなく、とても受け入れ易い概念だが、顧客をマネージメントするCRMの概念は簡単には受け入れられない様です。
ここで注意すべきは2点です。
①告知不足
②“見えないクレーム”
お客様に応じたサービスを行うとクレームが・・・という場合、その殆どが(そのサービスについて)告知不足である事が多いです。
飛行機の優先搭乗について(皆がその制度をしっているので)誰も苦情を申し出ないのが良い例です。
2.“顧客満足”の落とし穴
では“見えないクレーム”とはなんでしょうか?
上記の告知で見えるクレームは、大方解消できます。
ここで、考えてみてください。
「全てのお客様に均一的な満足」というのは、確かに見えるクレームは発生しません。
しかし、本当にこれが平等 = 顧客満足でしょうか?
CS(顧客満足)という考え方は、営業の基本ですから一切否定はいたしません。素晴らしい考え方です。
問題は、本当の顧客満足とは何だろうかという事です。
貴方の経営する飲食店に「たくさん貢献した!」と自覚しているお客様にとって、いつまでたっても一見さんと同じ扱いというのは、仮に接客が丁寧であっても顧客不満足となります。
3.“見えないクレーム”
その場合、どうなるか?
「私は常連だから、もっとサービスしたまえ!」とクレームを出すでしょうか?
いえ、殆どのお客様は黙って突然、飲食店を去ります。
いわゆる離反客となるわけです。
これが見えないクレームです。
これを“見える化”する為には来店データを見るのが最も効率的です。
さて、この見えないクレームが店舗経営にとって一体どんなリスクを抱えているのか・・・?
詳しくは次章で紹介いたします。
4.本当に怖いクレームとは?
前章では、CSとCRMとの違いについて紹介させていただきました。
CRMにおける具体策のひとつであるFSPを実施した場合にクレームが発生するのではという懸念がある事。
CRMを実施しないリスクについて、“見えないクレーム”を紹介させていただきました。
ポイントサービスなどを行っている店舗様であればお客様の来店状況がデータで把握できるはずです。
※出来ないと言う店舗様は、弊社にご相談下さい。レストランスターであればデータ分析も可能です。
4-1.顧客は、感覚ではなくデータで把握しましょう!
データで比較していただけると一目瞭然ですが、VIP層と、そうでないお客様層とを飲食店に対する貢献度(利用金額や来店回数など)で比較すると、最も差が大きい店舗で100倍以上もの差があったケースがありました。
通常でも30倍ほどの差があります。
つまり、VIP客は(そうでないお客様に比べて)何十倍も飲食店に貢献してくれていると言う事です。
見えないクレームは、言うまでもなくVIP層から発生してしまいます。
上記の例ですと、一見さんより100倍も飲食店の売上に貢献してくれているVIP客に、均一的に接する事が平等であるはずがありません。
4-2.本当は怖い“見えないクレーム”
考えてみてください。
そのVIP客を1人失うと新規集客でそれをカバーするためには、単純計算で100人のお客様を集めないといけないという事になります。
そんな訳にはいきませんよね?
そこで、あなたの経営する飲食店に対する貢献度を来店頻度(回数や金額)に置き換え、それに応じてお客様をランク分けします。
そして、その顧客ランクに応じた特典や付き合い方を提供する事で、
・一見さんは一見さんなりに、
・VIP客はそれに見合った
顧客満足を提供する事ができます。
そういう考え方がFSPというものです。
※ちなみにFSPは下記の頭文字を取った用語です。
Frequent(来店頻度)
Shoppers(お客様)
Program (計画・要項)
お客様をデータで“見える化”する事で、
・新規さんグループ
↓
・リピーターグループ
↓
・VIPグループ
などの様に、お客様を様々な条件で色分けする事が可能になります。
例えば、仮に引っ越しなどでVIP客が1名離反したとしても、上記の様に顧客管理が出来ていれば、新規さんグループではなく、リピーターグループからランクアップさせる事で、より現実的にリカバー出来るわけです。
しかしながら、顧客ランクに見合った段階的なお付き合いと言われても、どうすれば・・・?
詳しくは次章、紹介させていただきます。
5.顧客関係性のステップ
さて、FSPを含んだCRMという考え方は直訳すると「顧客関係性の管理」となりますが、その関係性のステップは大きく言うと下記のイメージになります。
①知って貰う
(新規客) ⇒(告知)
②得して貰う
(リピーター)⇒(ポイント・クーポンなど)
③好きになって貰う
(VIP客) ⇒(FSPなど・自尊心をくすぐる)
皆さんは、どこまで出来ていますか?
多くの店舗様で①と②の繰り返しというケースが多い様に思います。
②については、飲食店に慣れて頂く事が必要ですので、高い接触頻度が必要になります。
ザイアンスの法則というのがあるのですが、これは繰り返し接すると好意度や印象が高まるという法則です。
そのため、一生懸命メールやDMを送っているよ!という店舗様も多いかと思います。
しかし、③を実施し「好きになって貰う」=ファンを増やす戦略構築については、対策が不充分な店舗様が多いのではないでしょうか?
6.“ナレ”と“アキ”
しかし、①と②の繰り返しの場合、ポイント付与やクーポンなどは次第にその効力が衰えていきます。
「以前に比べ、クーポンの効果が落ちてきた!?」
と嘆く店舗経営者は実際に多いです。
※限界効用逓減の法則というものがあるのですが、これは一定の刺激を繰り返すと徐々にその効用が小さくなっていくというものです。
最初のひと口目は「ウマイ!」けど、次第に感動が薄れてくる例のアレですね。
そこで「慣れ」が「飽き」に変わる前に企画を変えてコミュニケーションの鮮度を保つ必要があります。
7.鮮度管理。皆さんは、どうしていますか?
10%OFF ⇒ 慣れ ⇒ 20%OFF ⇒ 慣れ
こんな悪循環に陥っていないでしょうか?
そこで飽きさせない為に、お客様を一定の基準でランク分けして、それに即したコミュニケーションを行う事で、より大胆な企画が可能になります。
こういった顧客セグメント毎のコミュニケーションを確立していく事がCRMというものであり、具体的にはFSPという訳です。
極端な話、VIPのお客様であれば年末年始にお世話になったお礼として、花束を持ってご自宅に挨拶にいくという企画も成り立ちます。
そんな馬鹿な…という声が聞こえてきそうですが、上記の例は、とあるスーパーで行われていた実例です。
下手なクーポンよりも「ファンづくり」という点ではずっと効果があると思います。
流石に全員には出来ませんがVIP客であれば、充分にコストが回収できるというのがデータを見れば判断可能です。
では、実際に顧客ランクを設定してみましょう。
次章は、お客様をランク分けするRFM分析の手法についてご紹介します。
8.RFM分析
本章では、その顧客ランクを設定するにあたり代表的な手法であるRFM分析を紹介させていただきます。
RFMとは下記の3つの要素から成り立っています。
■Recency(リセンシー) :最新来店日
■Frequency(フリークエンシー):来店頻度
■Monetary(マネタリー) :利用金額
RFMとは単なる言葉ではなく、この言葉の並び方に意味があります。
つまり対策を立てる場合・・・
①R
②F
③M
の優先順位になると言う事です。
業態や立地などでも変わってきますが、例えば
R:離反客を減少させる
F:来店頻度を増加させる
M:顧客単価を上げる
という順番に対策を講じると効果的という事です。
もう少し詳しく分解すると、
Rの数値が良いほど将来も貢献してくれる可能性が高い
Rの数値が悪ければ、その他の数値が良くても他社に奪われている可能性が高い
Rの数値が同じなら、その他の数値が良いほど優良顧客
という風にデータを見ていきます。
「直近に来店している顧客ほど、稼働率・再購入率が高い」という事になり、最終来店日が同様であれば、「来店回数 → 利用金額」の順番で顧客ランクを設定していくという手法です。
8-1..なぜ最新来店日が重要なの?
飲食店の顧客管理において、なぜ最新来店日が重要なのか?
それは、RFM分析の中で稼働・休眠・離反の状況を判断する事が出来るデータがRだからです。
来店回数や金額だけでは、現在において稼働しているお客様か否かを判断できません。
いくら利用金額が多くても、1年以上も来店されていない顧客にアプローチしても、とっくに他店に奪われている可能性が高いからです。
逆に、利用金額が低くても最近来店した顧客であればこれからのアプローチでランクアップしてくれる可能性が高いです。
可能であればRFMによるランク分けに、性別や職業などの顧客属性情報を加味して管理する事で、固定客やリピート客、離反客などについての、より正確な仮説が立てられると思います。
ポイントサービスを行う際に、性別や生年月日、職業などを聞く事で、来店データ(RFMの基データ)と紐付けた分析が可能になります。
8-2.RFM分析の罠!?
RFM分析で気を付ける事とは何でしょうか?
RFM分析やデシル分析などは、あくまで分析の手法であって解釈ではありませんので、分析結果を飲食店の経営にどう反映させるかは、分析された担当者次第です。
最近「RFM分析は間違いだ」などと言う人がいますが、あれは分析と解釈を混同しています。
RFM分析を行い、手っ取り早く売上を上げる方法ってなんでしょうか?
それは、ランクの高い上位客へアプローチする事です。
もともとファン層ですから、プッシュ型のセールスに強い反応を示して頂けます。
実際、ショップでご近所の常連客に必死に電話しているケースは多々あります。
ここで“罠”のお話です。
確かにこの方法で瞬間的には売上を上げる事が可能です。
が、ハードなセリングを続けていると必ず顧客離れが生じてきます。
実際、とある有名な健康食品最大手企業が、この罠にはまり大量の離反客が発生したという実例があります。
これは、RFM分析やデシル分析という手法が間違っているのではなく、そこから導き出した解釈が間違っていたという事です。
顧客関係性のステップを思い返してみてください。
①知って貰う
(新規客) ⇒(告知)
②得して貰う
(リピーター)⇒(ポイント・クーポンなど)
③好きになって貰う
(VIP客) ⇒(FSPなど・自尊心をくすぐる)
顧客セグメント毎のコミュニケーション術を構築する事がCRMである事を前章お話しました。
そのひとつの形がFSPであり、顧客ランクに応じた段階的なコミュニケーション戦略です。
いわゆる“客育”です。
上位客へのアプローチだけを続けていくと先細りになります。
そこで必要になるのが、育成型のマーケティングです。
育成型のマーケティングについては、次章からご紹介いたします。
9.顧客セグメンテーション
セグメンテーションとは、区分・分類を意味します。
しかし、単にお客様をグループ分けすれば良いという訳ではありません。
飲食店にとって一番有り難いのは、どんなお客様なのか?
離反客とは、どれぐらいの期間未購入のお客様なのか?
など、お客様との関係性のステップを区切っていくのは実際にやってみると、意外と難しいのです。
その為、育成型のマーケティングを実践する為には、まずは顧客データ(個人属性+来店情報)を蓄積する必要があります。
その過程で、RFM分析や個人属性情報なども用いて顧客をセグメント化していきます。
例えば・・・
・VIP客
・固定客
・リピート客
・新規客
・見込み客
・完全離反客
・離反客
・離反予備軍
などのイメージです。
「見込み客→新規客→リピート客→固定客→VIP客」といった様に、飲食店とお客様との関係性を発展させていく事が“客育”でありCRMの本質です。
どんな飲食店でも「新規客」は必要ですし、「リピート客」を増やし、さらに「固定客」化し、「VIP客」に育成していきます。
そして「離反客」をもう一度復活させる努力を日々怠りなく実践すれば、必ず繁盛します。
例えば初めて入る、居酒屋を想像してください。
「いくらくらいなのか?」
「カードは使えるか?」
など価格ひとつとっても新規客は不安でいっぱいです。
ゆえに「新規客」=「不安の払拭」がポイントとなり、いかに「安心感を与えるか」が重要となります。
一方、2回目に入る場合は当然過去に一度来ているので不安は消えている状態です。
むしろ「新メニュー」や「期間限定メニュー」など新しい価値を享受できるかがポイントとなります。
ゆえに「リピート客」=「価値の創造」が重要です。
さらに3回目、4回目と、その飲食店が気に入って来店を繰り返すと「固定客」「VIP客」となっていきます。
次の演出では「特別扱い」という演出が必要となってきます。
・こっそり教える裏メニュー
・ご近所に住んでる方だけの特別サービス
などが有効です。
ゆえに「固定客」「VIP客」の集客=「特別扱い」
それを実現するには顧客の絞り込みや、個別対応感の演出が必要です。
このように、同じお客様でも来店頻度など様々な要素により、アプローチが変わってきます。
10.レストランスターで手間なく実現できる!
私たちの提供する飲食店オリジナルアプリ作成サービス『レストランスター』では、ここまで紹介した顧客育成を自動化させることができます。
多忙を極める飲食店様に負担をかけずに、お客様に喜んでもらい、VIP客に育っていただく・・・ということを実現することができます。
詳しい事例などをダウンロードできますし、お問い合わせいただければあなたの飲食店に合った顧客管理の方法などを詳しく提案させていただきます。
まずはお気軽にご相談ください。
それでは、この記事は以上です。
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。