家賃支援給付金で飲食店の固定費を軽減

2020年6月中旬に国会で第二次補正予算が成立し、そこで設けられた新制度「家賃支援給付金」について解説します。

飲食店を始め、新型コロナウィルス感染症の影響により経営不振に陥った企業は非常に多いです。
外出自粛や新しい生活様式によって客数が減少し、売上を大幅に低下してしまっている飲食店も少なくありません。

そこで重荷になっているのがテナント家賃という固定費でしょう。
この負担を軽減するために設けられたのが、この家賃支援給付金です。

この記事、もしくは動画解説をご覧いただき、制度について知り、可能であれば申請をして、あなたの店舗経営にお役立てください。

※当記事の内容は6/21時点ものです。最新情報は当記事でも随時更新しますが、お急ぎの方は経済産業省のホームページをご確認ください。

 

以下、上記動画と同内容の記事です。動画もしくは記事のお好みの形でご覧ください。

 


<この記事の目次>

1.家賃支援給付金とは
 1-1.給付となる2つの条件
 1-2.給付額・給付率・算定例
 1-3.必要書類
 1-4.申請開始の時期

2.注意点
 2-1.課税対象になる?
 2-2.差し戻されないために
 2-3.大家さんの事情も考慮する

 

1.家賃支援給付金とは

家賃支援給付金とは何かについてですが、 こちらは経済産業省のホームページによると、

「新型コロナの拡⼤を契機とした自粛要請等によって売上の急減に直面する事業者の事業継続を下支えするため、固定費の中で大きな負担となっている地代・家賃の負担を軽減することを目的として、テナント事業者に対して支給します。」

という制度です。

また、この文の中の「地代」という部分ですが、6/8の安倍首相の会見によると「駐車場代等」というコメントがありましたので、そちらも対象となる可能性が高いです。
ただ、こちらはまだ未確定の部分も多いので、あくまで現状での見通しとして捉えた方が良いでしょう。

 


1-1.給付となる2つの条件

給付対象となるのは、中堅企業・中小企業・小規模事業者・個人事業者などであり、5月~12月において以下のいずれかに該当するものが対象となります。

 

①いずれかの1ヶ月の売上高が前年同月比の50%以上減少した

(例)2019年9月の売上が200万円で、2020年の9月の売上が100万円だった場合、比較すると売上が50%以上低下しているため対象月として認められる、という感じです。

 

②連続する3ヶ月の売上高が前年同期比の30%以上減少した

(例)2019年7月の売上が250万円で、8月の売上が150万円で、9月の売上が200万円だった。この場合は連続した3ヶ月の売上高は600万円になります。次に2020年の7月の売上が150万円で、8月の売上が100万円で、9月の売上が120万円だった。この場合は連続した3ヶ月の売上高が370万円になる。同じ時期を比較すると売上高は30%以上低下しているため対象として認められる。

 

ちなみに、経済産業省の現在の発表では「2020年3月までの新規創業の事業者やフリーランス(雑所得・給与所得計上)については、持続化給付金と同様に、給付対象とする方向で検討中です」とのことです。

そして、賃貸契約している自宅やローンを支払い中の自宅を、店舗としても利用している場合はどうなるのか?などはまだ未定です。

こちらは給付が決定したら非常にありがたいですよね。

 


1-2.給付額・給付率・算定例

家賃支援給付金は、申請時の直近に支払った家賃(月額)に基づいて算出され、その6ヶ月分が支給されます。

給付額の上限は、以下となります。

 

【原則】

給付率は月額家賃の2/3が対象となり、上限額は法人と個人事業者で異なります。

法人・・・月 50万円×6ヶ月=300万円

個人事業者・・・月25万円×6ヶ月=150万円

 

(算定例①)1店舗経営する法人の場合

家賃90万円の場合は2/3だと60万円となるが、上限額が50万円のため50万円×6ヶ月分=300万円の給付となる。

 

(算定例②)1店舗経営する個人事業主の場合

家賃30万円の場合は2/3だと20万円となるため20万円×6ヶ月分=120万円の給付となる。

 

 

【例外措置】

ただ、複数店舗を所有する場合など家賃支払い額が高い者を考慮した例外措置があり、原則にプラスして適用されます。

 

補助率は支払い家賃の上限が超える部分に対して1/3が給付されます。

法人・・・75万円を超える部分

個人事業者・・・50万円を超える部分

 

補助額の上限は原則にプラスして以下が上乗せして給付されます。

法人・・・月50万円

個人事業者・・・月25万円

 

つまり、例外措置にあたる場合は、下記の給付金額が上限となるわけです。

法人・・・【原則】月50万円 + 【例外措置】月50万円 = 月100万円 × 6ヶ月 = 600万円

個人事業者・・・【原則】月25万円 + 【例外措置】月25万円 = 月50万円 × 6ヶ月 = 300万円

 

(算定例③)3店舗経営する法人の場合

3店舗の家賃の合計が180万円の場合は3/2だと120万円となるが、【原則】の上限額が50万円なのでこちらが給付額となる。

【例外措置】に該当する場合は、【原則】にプラスして下記の金額が上乗せされる。

家賃合計180万円ー75万円=105万円の超過となる。この105万円の超過の1/3にあたる35万円が給付される。

【原則の50万円】+【例外措置の35万円】=85万円×6ヶ月=510万円の給付となる。

 

 

 


1-3.必要書類

申請に必要となる書類ですが、まだ詳細は発表されておりません。
ただ、現状で「これは必要になるだろう」と私たちが考える書類を紹介します。

※経済産業省から公式の発表があったら記事内で更新いたします。

飲食店で活用できる補助金・助成金とは?

まずは、持続給付金と同様の「確定申告書類」「売上が減ったことを証明する書類」は必要になるでしょう。

 

※ちなみに持続給付金で必要となる書類とは以下です。

【2019年分の確定申告書第一表控え(1枚)】

控えの上部に「令和01年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書B」と記載されているものです。事業収入・所得金額・所得税なども一緒に記載された書類です。
税務署の押印がされている、もしくは受信通知がある書類が必要になります。

 

【青色申告者は所得税青色申告決算書の控え(2枚)】

青色申告をした人のみ、2019年分の「所得税青色申告決算書」の控えが必要です。損益計算書が掲載されている書類と、毎月の売上額や青色申告特別控除額が記載されている書類の2枚が必要になります。

※白色申告をした人は2019年分の確定申告書第一表(1枚)が必要になります。

 

【売上減を証明する書類】

対象とする月の売上が掲載されている帳簿などが必要になります。
会計ソフトで出力した書類、エクセルで作成した書類、手書きの売上帳などが認められています。
ただし、給与明細、通帳のコピー、レシート、請求書などは認められていません。

※フリーランスの場合は、業務委託契約書や源泉徴収票で、本業の収入であることが証明できる場合は認められます。

 

【通帳のコピー】

申請者の名前が掲載された通帳の表紙と、1~2ページ目の見開き部分のコピーが必要です。
コピーする時は、銀行名・支店番号・支店名・口座種別・口座名義人などが明確になるように注意しましょう。

 

【本人確認書類】

以下のいずれかの本人確認書類が必要になります。

・運転免許証の表面と裏面
・個人番号(マイナンバー)カードの表面
・写真が貼ってある住基カードの表面
・在留カード、特別永住者証明書、外国人登録証明書の表面と裏面(特別永住者限定)
・住民票のコピーと健康保険証かパスポートの顔写真が付いているページのコピー

 

そして、家賃に対する給付金になりますので「賃貸借契約書」、特に家賃額と契約期間の明記されたものが必要となると思いますので、こちらはきちんと用意しておきましょう。

さらに、テナント家賃のこれまでの支払い実績を確認できる「通帳のコピー」「支払明細書」「領収証」などは、今から準備しておいても損はないと思います。

 


1-4.申請開始の時期

申請時期は、早くても6月下旬以降で、給付時期は7月以降になると予想されています。

ただ、こちらはあくまでも目標となる目安ですので、実際はもう少し遅れる可能性が高いように思います。

こちらも決定次第、更新いたします。

 

 

2.注意点

本章では、家賃支援給付金を申請する上で注意すべきことを紹介します。

 


2-1.課税対象になる?

家賃支援給付金は、法人税や所得税が課税されることが予想されます。

現在は、持続化給付金・雇用調整助成金・休業協力金といった支援制度が実施されていますが、こちらは法人税(企業)や所得税(個人事業者など)の課税対象です。

そのため家賃支援給付金も課税対象となることが予想されます。

例えば、200万円の給付を受けた場合、法人税の税率が15%なら単純計算で30万円が課税されるということになります。

決して小さい金額ではないため、課税対象になることを予め想定して、無事に経営を回せるようにしましょう。

※ただ、「給付金をもらっても経営を黒字にできなかった」という場合は税金の支払いは発生しません。

 


2-2.差し戻されないために

申請方法や給付金の使用の勘違いによって、差し戻しにされてしまう可能性も0ではありません。

例えば、書類の書き間違え、提出書類の不備、家賃支援給付金なのに申請時と違う用途に使用してしまった…などです。

申請書に記載しなければいけない内容をしっかりと理解し、給付金の内容に合った用途で使用し、それを証明する書類も用意できるように気を付けましょう。

 

※以下はご参考まで

残念ながらすでに休業協力金や持続化給付金で逮捕者が出ました。

(例)名古屋市中区エリアは4/17~5/6が休業要請期間で、休業に協力した店舗には50万円支払われるといった内容した。しかし、同地区のキャバクラ店が嘘の申請書を提出して不正受給(詐欺未遂)で逮捕されました。

(例)かんぽ生命の一部スタッフが持続化給付金を申請したがネットの書き込みで不正受給が判明されました。

なお、不正受給には「返金+加算金(年10.95%)」「氏名公表」「交付等停止、指名停止」「刑事告発」というペナルティが課せられます。

この記事のご覧のあなたは不正などされないでしょうから全く非がなくても、こうした一部の方々のせいで、給付金の対応をする側もナーバスになり少しの書類不備でも差し戻しするようにされたり、不正がないように申請方法が複雑化されたりして、申請者全体の支給の遅れに繋がったりもします。

こうした迷惑に巻き込まれないためにも、しっかりと書類を作るようにしたいですね。

 


2-3.大家さんの事情も考慮する

この新型コロナウィルス感染症の影響による経営不振の被害者はあなただけでなく、テナントの大家さんも同じく被害者です。

大家さんが貸しているテナント物件がローンを組んでいる場合、長期にわたって家賃収入がなくなっていますと連鎖的に倒産してしまう危険性もあります。

家賃支援給付金について相談するのはもちろん。家賃を減額してもらう場合でも大家さんのことも考えてあげるようにしましょう。

 

ちなみに、テナント大家さんが新型コロナウィルス感染症の影響で、家賃の支払いが困難になっている店舗に対して家賃の減額をしてあげると、その減額分を「損金」として処理することができるような制度があります。

※損金=申告時に所得から差し引く

 

以下の要件を満たせば適用されます。

①店舗(テナント入居者)が新型コロナウィルス感染症の影響で収入が減少し、事業継続が困難になった。もしくはその恐れが明らかである。

②テナント大家が実施する賃料の減額が、店舗の復旧支援(営業継続・雇用確保など)を目的としたものであり、それを書面で確認できる。

③賃料の減額が、店舗の事業継続が困難などが生じた後に開始し、復旧するために必要な期間内に実施した。

もしも、大家さんにテナント家賃の減額を交渉するのであれば、上記の要件が満たせるように書類を用意したり、念書を作ったりするなど、協力してあげると良いでしょう。

 

また、テナント大家さんが加入している災害保険を活用してキャッシュを得てもらう方法もあります。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

大家さんに負担をかけない家賃交渉ノウハウ

 

それではこの記事は以上です。

あなたの店舗経営のヒントに少しでもしていただければ幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。