グルメサイト離れの実態調査と2021年からの飲食店集客のカタチ
新型コロナウィルス感染症の影響によって苦境に立たされ続ける飲食店。
「集客効率を見直したい…」と考えている経営者の方も多いのではないでしょうか?
これまでの飲食店の新規集客の代表格と言えば「食べログ」「ぐるなび」「ホットペッパーグルメ」「Retty」などのグルメサイトですよね。
最近、『グルメサイト離れ』という言葉をメディアでよく目にするようになりました。
本当にグルメサイトを利用するお客様は減っているのか?
飲食店集客に昔ほどの効果を発揮しなくなっているのか?
この記事では、いくつか興味深いデータを紹介しながら『グルメサイト離れ』について考え、その代わりとなる新しい飲食店集客のカタチを導き出していきます。
是非ご一読ください。
※当記事はグルメサイトの活用を否定するものではありません。
目次
グルメサイトとは
飲食店の情報をメインに取り扱うウェブサイトのことで、店舗名や所在地、電話番号やインターネット予約、メニューやおすすめのコース・プラン、利用者による口コミレビューや評価点数などが掲載されています。
グルメサイト離れは、実際に起きているのか?
お客様にとっては飲食店の情報がまとめてあるため探しやすく、他のユーザーの評価が見れたりするため利用する店舗が見つけやすい。
そして、いざ利用するとなったらクーポンが使えたりポイントが貯まるなどしてお得になり、ネット予約もあるため営業時間外でも予約の申し込みが可能。
というようなメリットがあるため非常に利用者が多いです。
しかし、このように便利で利用者が多かったグルメサイトですが、利用しなくなるお客様、掲載しなくなる飲食店が今増えてきているようです。
実際に主要グルメサイトの有料での掲載飲食店の数は大きく減少しています。
・食べログ 2020年3月末:5.9万件 → 2020年9月末:4.8万件 【約1.1万件減】
・ぐるなび 2020年3月末:5.9万件 → 2020年9月末:4.9万件 【約1万件減】
もちろん、この減少傾向には新型コロナウィルス感染症による外食利用者の減少が大きく影響しています。
利用者が少ないわけですので、掲載している飲食店としても集客しづらくなるわけですから、費用対効果は低下してしまいます。
掲載している飲食店の離脱を防ぐため、日本国内の主要なグルメサイトでは2020年4~5月の月々の利用料を無料にしました。
そして、ゴートゥーイートキャンペーンも行われ、グルメサイトの利用者増加の追い風となりました。
ゴートゥーイートキャンペーンの影響によって1店舗当たりの予約数が事業実施前に比べて3倍以上増加したグルメサイトもあったようです。
しかし、予算を使い切ってキャンペーン事業が終了すると、各グルメサイトの予約数はキャンペーン事業開始前の状態に戻っているため利用者増は長くは続きませんでした。
グルメサイト離れは、なぜ起きている?
実際に、グルメサイトを利用して予約するお客様が減少し、掲載する飲食店の数も激減しているため、「グルメサイト離れは実際に起きている!」と言っても過言ではないでしょう。
いま何が起きているのでしょうか?
1.多くの飲食店が有料掲載する理由は?
元々、有料で掲載する飲食店は各グルメサイトを利用するお客様が多いから利用していました。
『グルメサイト離れ』を考えるヒントの一つで、テーブルチェックさんの興味深いデータがあったので紹介します。
【Q】グルメサイトを有料契約している理由は?
・認知度向上による新規顧客の獲得:63.0%
・店舗情報の掲載:60.1%
・予約受付:49.7%
・評価点による認知度向上:23.7%
・キャンペーン告知:17.3%
・顧客コミュニケーション:9.2%
上記のデータを見ても、やはり「たくさんの利用者に知ってもらいたい!」という理由がトップでした。
2.有料掲載をやめた理由は?
同調査で、グルメサイトを利用していない飲食店にその理由を尋ねているものがあったので紹介します。
【Q】グルメサイトを利用していない理由は?
・月額の広告掲載料が高いから:38.1%
・ユーザー評価など掲載情報が信用できないから:30.1%
・送客手数料:16.1%
・予約が入らないから:12.0%
・キャンセル防止機能がないから:8.2%
・席在庫の管理が煩雑だから:8.0%
・顧客情報を蓄積、管理できないから:6.5%
・上位に店舗情報が表示されないから:3.6%
・その他:19.5%
上記のデータをみると「広告費が高い」がトップで4割近く、そして注目すべきは「ユーザー評価など掲載情報が信用できない」というのが3割以上もあります。
2-1.広告費が高い
飲食業界に限らず多くの業界でポータルサイトに集客を頼りすぎる状態への危機が語られています。
グルメサイトに掲載して集客できるか否かというのは、主に以下の2つが重要になります。
①多くの人に見つけてもらう
②見つけてもらった人に予約してもらう
まず「多くの人に見つけてもらう」ですが、こちらはグルメサイト内でどれだけ目立って表示されるか?
つまり「場所名 + 業種名」でお客様が飲食店を検索して、その検索結果の上の方に表示されるか?にかかってきます。
そして、上位に表示されるには月額掲載料が高いプランに契約する必要があります。
さらに、オンライン予約数が増加すると、それに応じて送客手数料という大きなコストも発生します。(←これはグルメサイトを利用していない理由の第3位!)
このようにグルメサイトには「集客力=資金力」という構図が出来ています。
2-2.ユーザー評価など掲載情報が信用できない
一応、月額掲載料が高いプランでなくても「ブログをいっぱい書く」「頻繁に更新する」「ユーザーからの評価が高い」など頑張って運用することで目立って表示される仕様になっているグルメサイトもあります。
特にユーザーからの評価というのは「見つけてもらった人に予約してもらう」という来店行動の後押しにもなりますので大事ですよね。
しかし、この各グルメサイトが用いている検索結果の上位表示のルール(サイト内アルゴリズム)や、評価点の算出方法が不透明である…と度々ニュースなどでも取り上げられています。
直近のニュースでは「某グルメサイトの掲載プランUPを断ったら、クチコミ評価を下げられた!」と飲食店がグルメサイトの運営会社に数億円の賠償を求める訴訟が発生しました。
このように、一度有料で掲載してしまったら、プランを下げると検索順位だけでなく評価点数も下がるかもしれない…という不安を持ち、ずっと掲載し続けている飲食店様もいらっしゃるようです。
そのため、実際に公正取引委員会も動いて2019年4月~2020年3月の間に17のグルメサイト、全国1.3万の飲食店を対象に調査を実施。その中で、グルメサイトでの表示順位や店舗評価について、掲載依頼前に一定の説明を受けているものの「不満や疑問を感じている」と答えた飲食店は全体の3割以上あったようです。
【Q】サイトの表示順位や評価点に対する不満や疑問はありますか?
・ある 31.5%
・ない 68.5%
※出典:公正取引委員会「飲食店ポータルサイトに関する取引実態調査報告書」
こうした調査結果を踏まえて「表示順位と評価点数を決定するルールを掲載している飲食店と利用するお客様に可能な限り明らかにするように。そして、その公正さを第三者にチャックさせることが望ましい。」という報告書になっています。
以上のことから『グルメサイトは「集客力=創意工夫・人気」ではなく「集客力=資金力」なのではないか?』というイメージが業界全体に強まっている。
そして、その集客の費用対効果に疑問を感じてグルメサイトから離れている飲食店が増えているのだと考えられます。
3.お客様のグルメサイト離れの理由は?
それでは、お客様のグルメサイト離れは、なぜ起きているのか?
前述したように、グルメサイトは、お客様にとって飲食店の情報がまとめてあるため探しやすく、他のユーザーの評価が見れたりするため利用する店舗が見つけやすい。
そして、いざ利用するとなったらクーポンが使えたりポイントが貯まるなどしてお得になり、ネット予約もあるため営業時間外でも予約の申し込みが可能。
というようなメリットがあるため非常に利用者が多いです。
しかし、クックビズさんのお客様のグルメサイトの利用頻度の調査によると「2大グルメサイト」を利用する人が減っているという事が分かりました。
※クックビズさん調べ
そして、テーブルチェックさんのお客様のグルメサイトの利用頻度の調査によると「頻度が増えた」よりも「頻度が減った」と回答する人の方が多数になっています。
【Q】グルメサイトの利用・閲覧する頻度は?
・頻度が増えた:10%
・頻度は変わらない:59%
・頻度が減った:16%
・全く利用・閲覧しなくなった:3%
・もともと利用・閲覧していない:8%
・分からない:4%
※テーブルチェックさん調べ
こうした参考データを見ると「お客様側でもグルメサイト離れが起きている」と言っても過言ではないでしょう。
信頼できる情報ではないから?
離れてしまった理由についてテーブルチェックさんの同調査を紹介します。
【Q】閲覧頻度が減った・しなくなった理由は?
・自分好みのお店が見つからないから:26.7%
・信頼できる情報ではないから:24.4%
・人の意見や評価に興味がないから:23.8%
・検索や予約がしにくいから:10.9%
・より良い情報収集、検索ツールが出てきたから:6.9%
・飲食店選びに適さないから:5.3%
・その他:24.4%
ここで注目したいのが2番目に多い「信頼できる情報ではないから」という理由です。
こちらは前章で紹介した「飲食店の評価点数の不透明さ」と、度々ニュースなどで取り上げられる「やらせレビュー」などによる、グルメサイトへの不信感のことを指していると思われます。
同じテーブルチェックさんの調査で、各グルメサイトへの信頼度を尋ねたものがあったので紹介します。
【Q】各グルメサイトの信頼度は?
◆食べログ
・信頼していて飲食店選びの基準になっている:14.3%
・信頼はしているが、あくまでも情報源の1つである:63.4%
・あまり信頼していない:18.3%
・まったく信頼していない:2.4%
・分からない:1.4%
◆ぐるなび
・信頼していて飲食店選びの基準になっている:11.4%
・信頼はしているが、あくまでも情報源の1つである:57.4%
・あまり信頼していない:25.2%
・まったく信頼していない:2.0%
・分からない:3.5%
◆ホットペッパーグルメ
・信頼していて飲食店選びの基準になっている:18.3%
・信頼はしているが、あくまでも情報源の1つである:63.4%
・あまり信頼していない:11.9%
・まったく信頼していない:2.5%
・分からない:4.0%
このデータをみると「グルメサイトの口コミの信ぴょう性がいまいち」「他にも便利なツールがあるから」といった理由でグルメサイトから離れて、別なツールを利用し始めていることが分かります。
お客様が新しく利用するツールは?
それでは、お客様はグルメサイトから離れて、何のツールで飲食店を探しているのか?
同じテーブルチェックさんの調査で、飲食店探しのツールについて尋ねたものがあったので紹介します。
・Google検索:48.3%
・友人知人に聞く:40.3%
・地図サービス(Google,Yahoo):30.2%
・SNS:23.6%
・グルメ本:17.0%
・コンシェルジュサービス:4.9%
・その他:1.2%
・検索しない:5.8%
グルメサイトを利用すると回答した方が多いものの、注目したいのでは「Google検索」・「地図サービス」です。
こちらは両方ともGoogleマイビジネスというツールを強化することで集客効果をUPさせることができます。
※Googeマイビジネスとは、店名・住所・電話番号・メニューなどの店舗情報を掲載できるGoogleの無料ツールで、掲載することでGoogleマップにも情報が反映されます。(Googleマップ対策=Googeマイビジネス集客)
・Google検索
いまGoogleは地図ビジネスにとても力を入れており、お店探しの検索結果はホームページやブログ(SEO)よりも、Googleマップでの検索結果が目立って表示される仕様になっています。
そのため今は、SEO対策を頑張るよりもGoogleマップ対策(MEO)に力を入れた方が集客効率が高くなります。
・地図サービス
上記は「GoogleとYahoo両方の地図サービスで飲食店を探す」ということのようですが、Googeの公式発表によると日本人全体の半数以上が「Googleを使ってお店を探して、そのお店を利用したことがある」と回答しています。
地図サービスのユーザーもGoogleの方がシェアを圧倒しておりますので、やはりGoogeマップ対策に力を入れた方が集客効率は高くなります。
Withコロナ時代に合っている
新型コロナウィルス感染症の影響によってインバウンド需要が回復するのはもう少し先になりそうです。
その代わりにメインになるのが国内のお客様です。
国内のお客様のほとんどは移動するリスクを考えて近場で飲食店を探すようになります。
その場合はグルメサイトよりもGoogleマップで探したほうが圧倒的に便利なので、利用者が以前よりも増え、今後ますます増加していくことでしょう。
※先述したクックビズさんの調査でもGoogleマップの利用者が増えていることが分かります。
まとめ
グルメサイトは「情報の信頼感が薄れてしまったこと」と「利用する飲食店が近場になった」などの理由によって別なツールを利用するようになりました。
利用者が減ってしまったグルメサイトは費用対効果を出しにくいのでは?と考えて掲載する飲食店も減ってきているように見えます。
しかし、グルメサイトを利用する人はまだまだ多いので、グルメサイトの活用をやめるのではなく、他のツールでの集客も強化していく!というのが良いでしょう。
他のツールでオススメなのが、いま利用者が爆発的に増えてきているGoogleマップ(Googeマイビジネス)集客です。
それでは今回は以上です。
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。