飲食店の値上げを成功させる工夫5選・お知らせ方法・例文など徹底解説
コロナ禍、原油高、円安、人件費の高騰など様々な要因によって飲食業界は大きなダメージを受けています。
利益が薄くなってしまっている状況からメニューの『値上げ』を検討している飲食店も増えてきています。
帝国データバンクが発表した『値上げ』に関する最新データ(2022年4月30日時点)によると、上場する主要外食100社の内30%が過去1年以内に値上げを実施しました。さらに、飲食店の原価率は18年ぶりに急騰し、上昇幅は過去最大になるといいます。
このような状況もあり、あなたの経営する飲食店でも値上げを検討されていらっしゃるのではないでしょうか?
しかし、値上げをしてしまうことによって顧客が離れていってしまうのでは・・・と、不安に思われている部分もあるでしょう。実際に、値上げの仕方やタイミングを間違えてしまうと客数や利益の減少を招いてしまう可能性は大いにあります。
そうならないためにも、この記事では『飲食店でお客様離れをおこさずに値上げするコツ』として、大事になるポイントやお客様への告知方法、例文などを徹底解説いたします。
目次
主要外食チェーン企業の値上げ調査結果
ご参考までに、帝国データバンクが2022年4月30日に発表した『価格改定動向調査』の結果を紹介いたします。
主要外食チェーン企業の30%ほど値上げを実施
調査対象となったのは上場する主要外食100社で、2021年4月~22年4月までの過去1年間で実施されたメニューの価格改定を調査した結果、その内の約3割に当たる29社で値上げが実施されたことが分かりました。ちなみに、値上げを行った企業では、牛丼・ファミリーレストラン・うどんなどの『低価格チェーン』などが多くを占め、各メニューの平均値上げ額は77円だったようです。
値上げの原因は原材料の高騰
値上げの原因となったのは「食肉・小麦粉・原油」が高騰したことで、この中でも輸入牛肉の価格上昇による影響が大きいようです。
次に小麦粉の高騰、そして原油価格の高騰を値上げの原因として挙げている企業も多く、輸送費とコロナ禍となりニーズが増大したテイクアウト用の包装材のコストが増加したとのことです。
また、食品主要メーカー105社が2022年以降に値上げを計画している食品は6167品目で、その内4081品目については、4月に値上げされました。
食品分野別では、カップラーメンやハム・ソーセージ、冷凍食品といった『加工食品』が2909品目と最も多く、全体の半数近くを占める割合となっています。値上げ率は平均12%。原材料の高騰のほか、原油高に伴う包装資材費の上昇なども、価格を引き上げた要因となっています。
次に多かったのが『調味料』で、ドレッシングやマヨネーズなど1311品目。調味料の原料として使われている菜種油の価格が高騰していることなどが主な原因のようです。
そして、値上げ率の平均で最も高かったのは『酒類・飲料』で、粗粒アルコールの価格上昇に加え、円安により輸入ワインの物流費が高騰していることなどが原因とされています。
以上のように、原材料の価格が高騰したことで格外食企業の原価率も急速に悪化しました。2021年度の業績が判明した飲食店600社の売上売上高売上原価率平均は37.5%となっており、前年度(2020年度)が36.3%でしたので1.2ptも上がってしまっています。この上昇幅は過去20年で最も大きいようで、過去10年間では最高を記録する厳しい結果となっています。
前年度からの上昇幅の大きさを業種別でみると以下の結果でした。
・喫茶店 → 4.2pt 上昇
・レストラン → 3.6pt 上昇
・そば、うどん店→ 2.9pt 上昇
・大衆食堂 → 2.3pt 上昇
・居酒屋 → 1.7pt 上昇
※居酒屋などでは輸入食材の高騰だけでなくアルバイトを確保するための人件費が増加したケースもあったようです。
今後の懸念材料
以上のように原材料や食料品の値上げには様々な原因がありますが、今後の懸念材料として大きいのが円安です。
2022年5月17日の外国為替市場でも、1ドル=129円台になるなど円安が加速しています。この円安水準は約20年ぶりとなるもので輸入食材の急激な高騰が懸念されているため、輸入食材をメインにしていた大手飲食チェーン店では国内産の切り替えも検討されているようです。
その他にも、景気が回復しつつある中国などでの食料需要の増加、ロシアのウクライナ侵攻による影響で穀物や食用油脂、原油などでは相場価格の上昇など、様々な懸念材料がありますので、夏以降もまだまだ値上げする企業が増えそうです。
ただ、実際に値上げをした飲食チェーン店でも、お客さま離れを起こさないように各社のメインとなっている低価格メニューでは値上げ幅を抑えつつ、大盛サービスなどの追加料金や、中高価格帯のメニューで値上げを行うなどの工夫がみられたようです。
この記事でも、将来的に貴社で値上げを検討する際にご参考にしていただきたく、私たちが持つ独自ノウハウなどを交えて値上げのコツを次章から解説させていただきます。
値上げする前に注意すべきことは
コロナ禍以降、飲食店の苦境が続いているのは一般的に認知されていますので、値上げをお客さまに理解していただきやすい状況ではあります。
しかし、それでも安易な値上げを実施すると客足が遠のくのが一般的です。
割引キャンペーンに集客力があるように、お客さまは飲食店側が思っているよりも価格変更には敏感なものです。
値上げとなれば当然お客さまは敏感に察知して「このお店は高くなってしまったな・・・」と心理的に負担を感じて来店しなくなってしまう可能性も大いにあります。
そのため、なるべくお客さまに心理的負担を与えないように値上げする工夫が大切になります。
値上げを成功させる工夫5選
本章では、値上げに対するお客さまの心理的負担を少なくして、客数の減少を起こさないための工夫を5つ紹介いたします。
一部のメニューのみ値上げする
値上げを成功させる工夫としてまず最初にご紹介するのが「一部のメニューのみ値上げすること」です。
飲食店が全メニューを一気に値上げしまうと、お客さまへの心理的負担とお財布へのダメージがかなり大きなものとなります。「売上が落ちて値上げしたら、客数が減ってさらに売上が減ってしまった・・・」という負のスパイラルに落ちかねません。
そうならないためにも、一部のメニューに絞って値上げするのが良いでしょう。例えば、以下のような絞り方です。
・原価率の高いメニューを値上げする
・価格弾力性の低い定番メニューを値上げする
・あなたの飲食店の顔になるような人気メニューは値上げしない
以上のように、原価率の高いメニューの中から、価格弾力性の低い(値上げしても注文数に影響が出にくい)定番メニューに絞って値上げをするのがオススメです。お客さまへの心理的負担を少なくすることができるため、値上げによる客数の減少も軽減できるしょう。
値上げしたメニューの付加価値をUPする
値上げを成功させる工夫として2つ目にご紹介するのが「値上げしたと同時にそのメニューの付加価値をUPさせること」です。
この施策をすることも、お客さまに値上げを納得してもらいやすくなるので効果的です。
例えば、メニューで使用している食材を増やしたり、旬な食材や少し珍しい食材にかえたり、単純に量を増やすだけでも効果があります。
値上げした後の付加価値をUPさせるとお客さまにも損をさせませんし、それを分かりやすく伝えるようにしておくと値上げを受け入れてもらいやすくなるでしょう。
体験価値をUPさせる
値上げを成功させる工夫として3つ目にご紹介するのが「体験価値をUPさせること」です。
現代では「飲食店の料理は美味しいのが当たり前」になりましたし、「美味しい料理が手ごろな価格で味わえるのも当たり前」という薄利多売状態が続いています。そして、さらにコロナ禍となり人々の外出のリスクは高まり外食に求める価値も高まりました。
そんな今、多くの人々が飲食店に求めるのは高い体験価値です。『 美味しい料理 + 素敵な空間 + 心地良いサービス 』など、高い体験価値が求められる時代となり、そのニーズに応えられる飲食店が今後伸びていくでしょう。
値上げすることを良い機会として、体験価値を高める施策も効果的です。あなたの経営する飲食店でしか得られない体験をさらに高めて、お客さまに提供しましょう。
そして、その価値をしっかりと伝えることも大切です。ホームページやSNSなどで発信するのはもちろん、スタッフにも貴店だけの体験価値を共有してお客さまにご案内できるようにしておくと良いでしょう。
メニューをリニューアルをしつつ値上げする
値上げを成功させる工夫として4つ目にご紹介するのが「メニューのリニューアルをしつつ値上げをすること」です。
値上げするメニューの内容を少しリニューアルすることで値上げを目立たなくさせることができます。
リニューアルされたことによってお客さまは、以前との比較が難しくなり「内容が変わったから値段も変わったのだろう」と値上げに納得してもらいやすくなります。
こちらは「値上げしたが以前よりも良くなった!」ということをしっかりとお客さまに伝えるために店内にPOPを掲示するなどしてアピールしましょう。
値上げと同時にお得なキャンペーンも開催する
値上げを成功させる工夫として最後にご紹介するのが「値上げと同時にお得なキャンペーンも開催すること」です。
メニューを値上げしたことでお客さまに金銭的な負担をかけてしまいますので、その分を別な部分で還元できるように特定のメニューの特別割引や期間限定メニューなどのキャンペーンを開催するもの良いでしょう。
以上、値上げを成功させる工夫を5つ紹介しました。この中であなたの飲食店で実施できそうなものがあれば幸いです。
値上げする最適なタイミングとは
値上げの発表が多くなる時期は新年度の始まりで価格の見直しを行う時期である4月〜5月頃が一般的です。あなたの飲食店でも値上げの発表をするのであれば目立たないようにこの時期に発表するのがオススメです。
その他には、新しいメニューを発表する時やリニューアルのタイミングで値上げをするのも良いでしょう。
客離れを起こさない値上げのお知らせ方法とは
それでは次にお客さま離れを起こさない値上げのお知らせ方法についてお伝えします。
値上げのお知らせはポジティブに
まず最初にお伝えしたいのが、値上げのお知らせをする際は「値上げしてすみません」や「申し訳ありません」などのネガティブな言葉は使い過ぎない方が良いということです。
「値上げしてお客さまに金銭的負担をかけてしまって申し訳ない・・・」という気持ちは分かりますが、あまりネガティブな言葉をたくさん使うとマイナスなイメージとなってしまいます。
値上げを謝りすぎるよりも、「値上げはしますが、その分これからも頑張りますのでよろしくお願いします!」と前向きな伝え方をした方が好印象になるでしょう。
値上げするのも「お客さまに今後もより良い商品を提供するため」と、ポジティブに考えるようにしましょう。
値上げをお知らせする時期
値上げをお客さまにお知らせする時期ですが、あまりに早すぎると忘れられてしまいますし、直近すぎるとビックリされてしまいます。
それに、ホームページやSNS、グルメサイトなどに掲載した価格を修正する必要もありますので、1ヶ月ほど前にお知らせをするのが妥当です。
もちろん常連のお客さまには発表より先に口頭でお知らせをしておくのもありだと思います。
お客さまとのトラブルを避けるためにも、しっかりと価格改定のお知らせはしておくようにしましょう。
値上げのお知らせ例文
値上げのお知らせは以下のような要素が入っている方が良いでしょう。
・改定する価格を明記する(以前の値段→今後の値段)
・値上げする理由(原材料の高騰など)
・どのメニューを値上げするのか(〇〇の食材を使ったメニューなど)
・いつから値上げするのか
・日頃の感謝の気持ち
・今後もより良いサービスを提供できるように頑張るなど前向きなメッセージ
・署名と日付(〇〇店 店長の〇〇など)
などの含めて、端的・丁寧・誠実・明るく伝えるようにしましょう。
以下、簡単ではありますが例文をご紹介します。
値上げのお知らせ例文【件名】
お客様各位 価格改定のお知らせ
【本文】
居酒屋れすた 代表 〇〇、店長 〇〇
いつも当店をご利用いただき誠にありがとうございます。
当店は開店以降、皆様に愛されるお店を目指し、質にこだわった料理をお手ごろな価格でご提供できるように努力してまいりました。
しかし、この度の〇〇を原因とした原材料の高騰などを理由に現行価格でのご提供が難しくなりました。
ご利用いただいておりますお客様には大変ご迷惑をおかけいたしますが、〇〇を使用したメニューに対して価格を改定させていただきます。
〇年〇月〇日より価格改定
・メニューA 現行価格:〇〇円 → 新価格:〇〇円
・メニューB 現行価格:〇〇円 → 新価格:〇〇円
・メニューC 現行価格:〇〇円 → 新価格:〇〇円
※詳細はホームページにも掲載しております。
ただ、今後ともこれまで以上にサービスを向上し、皆様に愛されるお店をなれるように、スタッフ一同より一層努めて参りますので、変わらぬご愛護をいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。
値上げをお知らせするには会員証アプリがオススメ
最後に、既存のお客さまに価格改定をお知らせする方法としてオススメな会員証アプリについてご紹介いたします。
私たちが提供する飲食店公式アプリ作成サービス|レストラン★スターにはアプリ会員になってくれたお客さまへPUSH通知でメッセージを配信することができます。
後々トラブルにならないように『値上げのお知らせ』は、しっかりとお客さまに伝えたいですよね。
お客さまのお手元にあるスマホに値上げのお知らせメッセージをPUSH通知で配信することによって高い確率でお知らせに気付いていただけます。
さらに、レストランスターアプリのメッセージ配信機能にはアプリ会員様のお名前を挿入する機能があります。
そのため、『お客様各位』ではなく『〇〇様へ』という形で名指しのメッセージを配信することができますので、配信後に読んでもらえる確率も高まります。メッセージを読んでもらうことで、あなたの思いも伝わりやすくなりますので、結果的に値上げを受け入れてもらやすくもなるでしょう。
以上のように会員証アプリによるメッセージ配信は、大事なことをお知らせすることに非常に適しています。
あなたの飲食店でもこの機会に導入をご検討いただけますと幸いです。
以下から、資料ダウンロード・お見積り・運用のご相談などを承っておりますので、まずはお気軽にお問合せください。
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それでは、この記事は以上です。あなたの飲食店経営のヒントに少しでもしていただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。